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063 : 屋根裏の幸せ
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教会に戻り、奥の部屋で一人で洗い物をしていたジャクリーヌに私は声をかけた。
「ジャクリーヌ、これを…」
「まぁ、マルタンさん、なんて綺麗なお花!
これを私にですか?!」
「ジャクリーヌ、この花は、リュ…」
「嬉しい!
私…男の人からお花をもらったのなんて初めて…!
しかも、それがマルタンさんからだなんて…本当に嬉しいわ!」
ジャクリーヌは、私の言葉を聞き終えないうちにそう言うと、いきなり私の胸に飛びこんで来た。
「マルタンさん、ありがとう!」
ジャクリーヌの肩越しに、青い顔をしたリュックが、呆然と立ち尽しているのが見えた。
「リュック!!」
リュックは無言で去って行ってしまった。
きっと、今の私達を見て誤解したのだろう…なんと、タイミングの悪い事か…
その晩、私はリュックにその時のことを話した。
もちろん、誤解を解いておきたかったからだ。
「良いんだよ。
どうせ、最初からジャクリーヌはあんたのことが好きだったんだから…」
「そんなことはないさ。
ただ、今日は花を贈ったことで誤解されてしまったんだ。」
「いや…そうじゃない。
あの子は、今までにもあんたのことをいろいろと聞いてたからな。
クロワさんはあんたの恋人じゃないのか?とか、結婚したことはあるのか?とか…そんなことをな。」
「それは、ただの好奇心だろう?」
リュックはうつむいたまま、ゆっくりと首を振った。
「そんなんじゃないさ。
……ジャクリーヌの様子を見てたらわかるよ。
あの子は、あんたのことが好きなんだ…」
「私は、ジャクリーヌよりずっと年上だぞ。
こんなおじさんを好きになったりなんかするもんか。」
「それを言ったら、俺の方が本当はずっと年上だ。
それに、俺は、この先、いつどうなるかわからない身体なんだ…」
「……リュック…そのことなんだが…
君は、この先も何事もなく生きていけると思う…」
「良いよ、そんな慰めは…」
「慰めじゃない。
残念ながら詳しいことは言えないんだが…君はこれから、ごく普通に年を取り始める。
だが、いきなり身体になにか異変が起こるようなことはない。」
「なんでだよ!
なんで、そんな確信的な言い方をするんだ?
マルタン、何があった?
誰がそんなことを言ったんだ?」
「ジャクリーヌ、これを…」
「まぁ、マルタンさん、なんて綺麗なお花!
これを私にですか?!」
「ジャクリーヌ、この花は、リュ…」
「嬉しい!
私…男の人からお花をもらったのなんて初めて…!
しかも、それがマルタンさんからだなんて…本当に嬉しいわ!」
ジャクリーヌは、私の言葉を聞き終えないうちにそう言うと、いきなり私の胸に飛びこんで来た。
「マルタンさん、ありがとう!」
ジャクリーヌの肩越しに、青い顔をしたリュックが、呆然と立ち尽しているのが見えた。
「リュック!!」
リュックは無言で去って行ってしまった。
きっと、今の私達を見て誤解したのだろう…なんと、タイミングの悪い事か…
その晩、私はリュックにその時のことを話した。
もちろん、誤解を解いておきたかったからだ。
「良いんだよ。
どうせ、最初からジャクリーヌはあんたのことが好きだったんだから…」
「そんなことはないさ。
ただ、今日は花を贈ったことで誤解されてしまったんだ。」
「いや…そうじゃない。
あの子は、今までにもあんたのことをいろいろと聞いてたからな。
クロワさんはあんたの恋人じゃないのか?とか、結婚したことはあるのか?とか…そんなことをな。」
「それは、ただの好奇心だろう?」
リュックはうつむいたまま、ゆっくりと首を振った。
「そんなんじゃないさ。
……ジャクリーヌの様子を見てたらわかるよ。
あの子は、あんたのことが好きなんだ…」
「私は、ジャクリーヌよりずっと年上だぞ。
こんなおじさんを好きになったりなんかするもんか。」
「それを言ったら、俺の方が本当はずっと年上だ。
それに、俺は、この先、いつどうなるかわからない身体なんだ…」
「……リュック…そのことなんだが…
君は、この先も何事もなく生きていけると思う…」
「良いよ、そんな慰めは…」
「慰めじゃない。
残念ながら詳しいことは言えないんだが…君はこれから、ごく普通に年を取り始める。
だが、いきなり身体になにか異変が起こるようなことはない。」
「なんでだよ!
なんで、そんな確信的な言い方をするんだ?
マルタン、何があった?
誰がそんなことを言ったんだ?」
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