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057 : 図書館の奥
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「……そうでしたね、マルタンさん。
実は、本棚を作ってほしいの。
父さんはそういうことはまるで出来ない人だから…
まだ、収まりきれてない本がたくさんあるのよ。
そのための本棚作りと、後は、分類の手伝いをしていただきたいの。
出来るかしら?」
「本棚ですか…」
私に、そんなものが作れるだろうか?
形そのものを考えるとそう難しくはなさそうだが、ジュスタンに作れないということは、考えているよりも容易なことではないのかもしれない。
「なんだ、そんなことか…」
私が、あれこれ考えをめぐらせていると、リュックが事も無げにそう言い放った。
「あなたが作るっていうの?」
「あぁ、それくらいならお安いご用だ。
材料はあるのか?」
「え…ええ、材料なら揃ってるわ。」
「私が作ろうと思って材料だけは揃えたんですが、お恥ずかしい事にまるでだめだったんでそのままになっています。」
「そうかい、じゃあ、早速明日から取りかかるぜ。」
「よろしくお願いします。
それじゃあ、そろそろお部屋にご案内します。
マルタンさん、リュックさん、こちらへ…」
私達は、アデリーヌの案内で、奥の部屋へ連れて行かれた。
「リュックさんとマルタンさんはこの部屋を使って下さい。
二人一緒で申し訳ないんですけど…あ!父さん!そこはだめ!!」
私達の後ろ側にいたジュスタンに向かって、アデリーヌが大きな声を上げ、走りだした。
「どうしたんだい?アデリーヌ。」
「だめじゃない!!ここは、母さんの部屋なのよ!!
早く出て!!」
「でも、他にはクロワさんに使ってもらう部屋がないじゃないか…」
「クロワさん、すみませんがこっちの部屋で我慢して下さいね。」
アデリーヌが隣の部屋の扉を開けた。
そこは薄暗い納戸のような部屋で、部屋の半分には本がうずたかく積み上げられていた。
「アデリーヌ、いくらなんでもそこは…」
「いいえ、ジュスタンさん。
私はここで結構です。」
「……ごめんなさい。クロワさん。」
「良いのよ、アデリーヌ。」
実は、本棚を作ってほしいの。
父さんはそういうことはまるで出来ない人だから…
まだ、収まりきれてない本がたくさんあるのよ。
そのための本棚作りと、後は、分類の手伝いをしていただきたいの。
出来るかしら?」
「本棚ですか…」
私に、そんなものが作れるだろうか?
形そのものを考えるとそう難しくはなさそうだが、ジュスタンに作れないということは、考えているよりも容易なことではないのかもしれない。
「なんだ、そんなことか…」
私が、あれこれ考えをめぐらせていると、リュックが事も無げにそう言い放った。
「あなたが作るっていうの?」
「あぁ、それくらいならお安いご用だ。
材料はあるのか?」
「え…ええ、材料なら揃ってるわ。」
「私が作ろうと思って材料だけは揃えたんですが、お恥ずかしい事にまるでだめだったんでそのままになっています。」
「そうかい、じゃあ、早速明日から取りかかるぜ。」
「よろしくお願いします。
それじゃあ、そろそろお部屋にご案内します。
マルタンさん、リュックさん、こちらへ…」
私達は、アデリーヌの案内で、奥の部屋へ連れて行かれた。
「リュックさんとマルタンさんはこの部屋を使って下さい。
二人一緒で申し訳ないんですけど…あ!父さん!そこはだめ!!」
私達の後ろ側にいたジュスタンに向かって、アデリーヌが大きな声を上げ、走りだした。
「どうしたんだい?アデリーヌ。」
「だめじゃない!!ここは、母さんの部屋なのよ!!
早く出て!!」
「でも、他にはクロワさんに使ってもらう部屋がないじゃないか…」
「クロワさん、すみませんがこっちの部屋で我慢して下さいね。」
アデリーヌが隣の部屋の扉を開けた。
そこは薄暗い納戸のような部屋で、部屋の半分には本がうずたかく積み上げられていた。
「アデリーヌ、いくらなんでもそこは…」
「いいえ、ジュスタンさん。
私はここで結構です。」
「……ごめんなさい。クロワさん。」
「良いのよ、アデリーヌ。」
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