386 / 641
056 : 遊牧民の秘湯
1
しおりを挟む
「あら?何のお話?」
「あぁ、クロワさん、お帰り!
実は、この先の山の中に湯治に良い温泉があるって話があってね…」
「湯治に?
それは、マルタンさんの身体に良さそうじゃない!」
「そうなんだ。
俺もそう思ったんだけど、山のけっこう奥まった所にあるらしいんだ。
なんでも、昔、遊牧民が見つけた温泉とかで…
俺にその話を教えてくれた男も、そういう話を聞いたことがあるだけで、実際には行ったことはないらしいんだ。
きっとわかりにくい場所なんだろうな。
だから、行ってみるのはマルタンの具合がもう少し良くなってからにしようかって話してた所なんだよ。」
「私ならもう大丈夫だぞ。」
「何言ってるんだ。
何日も寝てたら、体力っていうのは自分でも気付かない位、落ちてるもんなんだぜ。
しかも山道となりゃあ、普段、元気な奴だって相当に疲れるもんだからな。」
「ねぇ、リュック!
私達で下見に行って来ない?
場所がわかってれば、マルタンさんもそうは疲れないんじゃないかしら?」
「それはそうだな!」
「そんな…私のためにご迷惑をおかけするわけには…」
「迷惑なんかじゃありませんよ。
私、もともと山が好きですから。
遊牧民が歩いた道だったら、いろんな薬草もみつかりそうですしね。」
「本当にクロワさんは、いつも薬のことが頭から離れないんだな!」
「そうよ!
私にはこれしかないんだもの!」
次の休みに、クロワとリュックは温泉のある山へでかけていった。
私は、少しでも体力を戻そうと、果樹園の中を散歩がてら歩きまわった。
ただっ広いの果樹園は、一周するだけでじんわりと汗がにじんで来る。
私は自分で出来る限りの夕食を準備し、二人の帰りを待っていたが、その晩、二人は帰っては来なかった。
クロワもリュックも山には慣れている。
まさか、迷ってはいないと思うが、何かあったのか?
それとも、ただ温泉がみつからないだけなのか?
様々なことが脳裏をかすめていく。
結局、二人が帰って来たのは、次の日の夕刻近くだった。
「あぁ、クロワさん、お帰り!
実は、この先の山の中に湯治に良い温泉があるって話があってね…」
「湯治に?
それは、マルタンさんの身体に良さそうじゃない!」
「そうなんだ。
俺もそう思ったんだけど、山のけっこう奥まった所にあるらしいんだ。
なんでも、昔、遊牧民が見つけた温泉とかで…
俺にその話を教えてくれた男も、そういう話を聞いたことがあるだけで、実際には行ったことはないらしいんだ。
きっとわかりにくい場所なんだろうな。
だから、行ってみるのはマルタンの具合がもう少し良くなってからにしようかって話してた所なんだよ。」
「私ならもう大丈夫だぞ。」
「何言ってるんだ。
何日も寝てたら、体力っていうのは自分でも気付かない位、落ちてるもんなんだぜ。
しかも山道となりゃあ、普段、元気な奴だって相当に疲れるもんだからな。」
「ねぇ、リュック!
私達で下見に行って来ない?
場所がわかってれば、マルタンさんもそうは疲れないんじゃないかしら?」
「それはそうだな!」
「そんな…私のためにご迷惑をおかけするわけには…」
「迷惑なんかじゃありませんよ。
私、もともと山が好きですから。
遊牧民が歩いた道だったら、いろんな薬草もみつかりそうですしね。」
「本当にクロワさんは、いつも薬のことが頭から離れないんだな!」
「そうよ!
私にはこれしかないんだもの!」
次の休みに、クロワとリュックは温泉のある山へでかけていった。
私は、少しでも体力を戻そうと、果樹園の中を散歩がてら歩きまわった。
ただっ広いの果樹園は、一周するだけでじんわりと汗がにじんで来る。
私は自分で出来る限りの夕食を準備し、二人の帰りを待っていたが、その晩、二人は帰っては来なかった。
クロワもリュックも山には慣れている。
まさか、迷ってはいないと思うが、何かあったのか?
それとも、ただ温泉がみつからないだけなのか?
様々なことが脳裏をかすめていく。
結局、二人が帰って来たのは、次の日の夕刻近くだった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
迷宮世界に飛ばされて 〜迷宮から魔物が湧き出す世界で冒険者として生きる〜
おうどん比
ファンタジー
キャンプ場で紫色の月を見ながら酒を飲み、目が覚めると異世界。偶然助けられた赤髪の男性に、迷宮に潜ったり、魔物なんかと戦う冒険者になることを勧められ、色んな魔法を習得させてもらう。別れ際には当座の資金や色んな物も貰い、街へ向かう。
元の世界には帰れないようだが未練もない、ひとまず冒険者として一旗上げよう。
そんな始まりです。
ーーーー
現れたり消えたりする不思議な迷宮から魔物が湧き出す世界です。
冒険者として魔物を狩ったり、迷宮に潜ります。
元の世界のお菓子や娯楽を広めて、儲けたりもします。
妖精や魔物を仲間にしたりもします。
古い流行りの地の文多めの一人称小説です。
えっちなR18部分はノクターンに一部掲載してます。
序盤で殺される悪役貴族に転生した俺、前世のスキルが残っているため、勇者よりも強くなってしまう〜主人公がキレてるけど気にしません
そらら
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑
大人気ゲーム「剣と魔法のファンタジー」の悪役貴族に転生した俺。
貴族という血統でありながら、何も努力しない怠惰な公爵家の令息。
序盤で王国から追放されてしまうざまぁ対象。
だがどうやら前世でプレイしていたスキルが引き継がれているようで、最強な件。
そんで王国の為に暗躍してたら、主人公がキレて来たんだが?
「お前なんかにヒロインは渡さないぞ!?」
「俺は別に構わないぞ? 王国の為に暗躍中だ」
「ふざけんな! 原作をぶっ壊しやがって、殺してやる」
「すまないが、俺には勝てないぞ?」
※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル総合週間ランキング40位入り。1300スター、3800フォロワーを達成!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
フェンリルに育てられた転生幼女は『創作魔法』で異世界を満喫したい!
荒井竜馬
ファンタジー
旧題:フェンリルに育てられた転生幼女。その幼女はフェンリル譲りの魔力と力を片手に、『創作魔法』で料理をして異世界を満喫する。
赤ちゃんの頃にフェンリルに拾われたアン。ある日、彼女は冒険者のエルドと出会って自分が人間であることを知る。
アンは自分のことを本気でフェンリルだと思い込んでいたらしく、自分がフェンリルではなかったことに強い衝撃を受けて前世の記憶を思い出した。そして、自分が異世界からの転生者であることに気づく。
その記憶を思い出したと同時に、昔はなかったはずの転生特典のようなスキルを手に入れたアンは人間として生きていくために、エルドと共に人里に降りることを決める。
そして、そこには育ての父であるフェンリルのシキも同伴することになり、アンは育ての父であるフェンリルのシキと従魔契約をすることになる。
街に下りたアンは、そこで異世界の食事がシンプル過ぎることに着眼して、『創作魔法』を使って故郷の調味料を使った料理を作ることに。
しかし、その調味料は魔法を使って作ったこともあり、アンの作った調味料を使った料理は特別な効果をもたらす料理になってしまう。
魔法の調味料を使った料理で一儲け、温かい特別な料理で人助け。
フェンリルに育てられた転生幼女が、気ままに異世界を満喫するそんなお話。
※ツギクルなどにも掲載しております。
【アルファポリスで稼ぐ】新社会人が1年間で会社を辞めるために収益UPを目指してみた。
紫蘭
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスでの収益報告、どうやったら収益を上げられるのかの試行錯誤を日々アップします。
アルファポリスのインセンティブの仕組み。
ど素人がどの程度のポイントを貰えるのか。
どの新人賞に応募すればいいのか、各新人賞の詳細と傾向。
実際に新人賞に応募していくまでの過程。
春から新社会人。それなりに希望を持って入社式に向かったはずなのに、そうそうに向いてないことを自覚しました。学生時代から書くことが好きだったこともあり、いつでも仕事を辞められるように、まずはインセンティブのあるアルファポリスで小説とエッセイの投稿を始めて見ました。(そんなに甘いわけが無い)
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~
楠富 つかさ
ファンタジー
地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。
そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。
できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!!
第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる