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052 : 2人だけの符号
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結局、私達は、いつものように一晩中、他愛ない話を語り合い、そして飲み明かした。
次の日、目が覚めると部屋にはリュックとジャン=ルイの姿はなかった。
どこに行ってるのだろうと考えながらも、私は、顔を洗い待っていたのだが、戻って来る気配がないので再び横になった。
「マルタン、まだ寝てるのか?!」
あれから、私はまた眠っていたようで、リュックの大きな声で目が覚めた。
「あぁ、すまない。
君達がでかけてるようだったんで、ちょっとな…
どこに行ってたんだ?」
「酒を見せてもらってたんだ。」
「そういえば、ジャン=ルイさんはご自分で酒を造られてるんでしたね。」
「造ってるなんてたいしたもんじゃないさ。
俺が造ってるのは、果実に酵母を混ぜた簡単な果実酒だからな。
こんなものは誰にだって造れるさ。」
「いや、あんたの酒はばあさんの所でも飲ませてもらったが、本当に良い味してたよ。
皆、そう言ってたぜ!」
「そうかい?
そう言ってもらえると嬉しいな。」
ジャン=ルイははにかみながらそう言った。
「でな、マルタン!今回は特別な酒ももらってきたぜ!」
「特別?」
「たいしたことはないんだが…ここに来る前に造った酒なんだ。」
「じゃあ、もうずいぶん熟成してるんじゃないか?」
「あぁ、多分な…」
私達はここでジャン=ルイに酒をもらってくることになっていたが、せっかくだから…と、ジャン=ルイも誘い、ローズの住む島へ一緒に戻ることにした。
「おかえりなさい!」
「おぉ、思ったよりも早かったじゃないか!
こんなに早いとは思ってなかったぞ。」
「当たり前だ!
あんな近くなんだ。島をみつけるのは簡単なことだったぜ!
本当はもっと早くに戻ってこれたんだが、めったに行くこともないしいろいろと見物させてもらってたんだ。」
そんなリュックの言葉に、私とジャン=ルイは顔を見合わせて微笑んだ。
「そうかい、それはあんたらを見くびってたようじゃな。すまなかったな。
さて、今夜は楽しい夕飯になりそうじゃのう…
これは、はりきって作らんといかんな。」
その夜は、ジャン=ルイが加わったことでいつもよりさらに賑やかな宴となった。
次の日、目が覚めると部屋にはリュックとジャン=ルイの姿はなかった。
どこに行ってるのだろうと考えながらも、私は、顔を洗い待っていたのだが、戻って来る気配がないので再び横になった。
「マルタン、まだ寝てるのか?!」
あれから、私はまた眠っていたようで、リュックの大きな声で目が覚めた。
「あぁ、すまない。
君達がでかけてるようだったんで、ちょっとな…
どこに行ってたんだ?」
「酒を見せてもらってたんだ。」
「そういえば、ジャン=ルイさんはご自分で酒を造られてるんでしたね。」
「造ってるなんてたいしたもんじゃないさ。
俺が造ってるのは、果実に酵母を混ぜた簡単な果実酒だからな。
こんなものは誰にだって造れるさ。」
「いや、あんたの酒はばあさんの所でも飲ませてもらったが、本当に良い味してたよ。
皆、そう言ってたぜ!」
「そうかい?
そう言ってもらえると嬉しいな。」
ジャン=ルイははにかみながらそう言った。
「でな、マルタン!今回は特別な酒ももらってきたぜ!」
「特別?」
「たいしたことはないんだが…ここに来る前に造った酒なんだ。」
「じゃあ、もうずいぶん熟成してるんじゃないか?」
「あぁ、多分な…」
私達はここでジャン=ルイに酒をもらってくることになっていたが、せっかくだから…と、ジャン=ルイも誘い、ローズの住む島へ一緒に戻ることにした。
「おかえりなさい!」
「おぉ、思ったよりも早かったじゃないか!
こんなに早いとは思ってなかったぞ。」
「当たり前だ!
あんな近くなんだ。島をみつけるのは簡単なことだったぜ!
本当はもっと早くに戻ってこれたんだが、めったに行くこともないしいろいろと見物させてもらってたんだ。」
そんなリュックの言葉に、私とジャン=ルイは顔を見合わせて微笑んだ。
「そうかい、それはあんたらを見くびってたようじゃな。すまなかったな。
さて、今夜は楽しい夕飯になりそうじゃのう…
これは、はりきって作らんといかんな。」
その夜は、ジャン=ルイが加わったことでいつもよりさらに賑やかな宴となった。
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