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049 : 草笛の響き
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「でも、俺…しっかり聞こえたぜ!
幽霊が吹いた草笛って、あんなにはっきりと聞こえるもんなのか?」
「わしは幽霊に知り合いはおらんから詳しいことはわからんが、枯れ井戸のべっぴんさんもはっきりと見えとったぞ。
幽霊が吹いとるからはっきり聞こえないなんてことはないんじゃないか?」
「そ…そうなのか…
でも、そんなおっかないもん、見せてくれなくて良いよ!
俺、怖いのは苦手なんだ。」
「そうかい?あの草笛はそんなに怖かったか?」
「いや…怖くはなかったけど、そんな話を聞かされたんじゃあ…」
「なにが怖いもんか!
あやつらは、何か言いたいことがあったり、思い残すことがあってここにおるだけじゃ。
なにもわるさはしやせん。
先日あんたらが枯れ井戸のべっぴんさんに花を手向けたのを見て、わしは思い出したんじゃ。
わしはべっぴんさんになにもしてやらんかった。
それにあの草笛も何度か聞いたことがあって、その度になんだか懐かしい良い気分になったもんじゃが、わしは草笛に礼を言うたことがなかった…
そう思うたら、急にあそこへ行きたくなってな。
それで、せっかくじゃからあんたらを誘ったということなんじゃ。」
「なるほどなぁ…で、じいさんはなんで連れていかなかったんだ?」
「あやつはそういうもんは信じんからな。
幽霊もそんな奴を連れていったら、気分を悪くして吹いてくれないんじゃないかと思うてな。」
「それはその通りだな!」
リュックはそう言って腹を抱えて笑っている。
*
「遅かったじゃないか!
面白いものはどうだったんじゃ?」
家に帰ると、顔を赤くしたジョセフが出迎えてくれた。
「あぁ、最高だったぜ!」
「なにが最高だったんじゃ?!
教えてくれよ!」
「だーーーめ!これは俺達だけの秘密!」
「ふん!どうせたいしたことないんじゃろ!
そんなもん、聞きたくないわ!」
リュックとジョセフはそんな子供のようなやりとりをしながら、しばらくするとまた仲良く談笑している。
リュックが今日のあの不思議な草笛の話をしたかどうかを聞き遂げることなく、私は眠りに就いていた。
幽霊が吹いた草笛って、あんなにはっきりと聞こえるもんなのか?」
「わしは幽霊に知り合いはおらんから詳しいことはわからんが、枯れ井戸のべっぴんさんもはっきりと見えとったぞ。
幽霊が吹いとるからはっきり聞こえないなんてことはないんじゃないか?」
「そ…そうなのか…
でも、そんなおっかないもん、見せてくれなくて良いよ!
俺、怖いのは苦手なんだ。」
「そうかい?あの草笛はそんなに怖かったか?」
「いや…怖くはなかったけど、そんな話を聞かされたんじゃあ…」
「なにが怖いもんか!
あやつらは、何か言いたいことがあったり、思い残すことがあってここにおるだけじゃ。
なにもわるさはしやせん。
先日あんたらが枯れ井戸のべっぴんさんに花を手向けたのを見て、わしは思い出したんじゃ。
わしはべっぴんさんになにもしてやらんかった。
それにあの草笛も何度か聞いたことがあって、その度になんだか懐かしい良い気分になったもんじゃが、わしは草笛に礼を言うたことがなかった…
そう思うたら、急にあそこへ行きたくなってな。
それで、せっかくじゃからあんたらを誘ったということなんじゃ。」
「なるほどなぁ…で、じいさんはなんで連れていかなかったんだ?」
「あやつはそういうもんは信じんからな。
幽霊もそんな奴を連れていったら、気分を悪くして吹いてくれないんじゃないかと思うてな。」
「それはその通りだな!」
リュックはそう言って腹を抱えて笑っている。
*
「遅かったじゃないか!
面白いものはどうだったんじゃ?」
家に帰ると、顔を赤くしたジョセフが出迎えてくれた。
「あぁ、最高だったぜ!」
「なにが最高だったんじゃ?!
教えてくれよ!」
「だーーーめ!これは俺達だけの秘密!」
「ふん!どうせたいしたことないんじゃろ!
そんなもん、聞きたくないわ!」
リュックとジョセフはそんな子供のようなやりとりをしながら、しばらくするとまた仲良く談笑している。
リュックが今日のあの不思議な草笛の話をしたかどうかを聞き遂げることなく、私は眠りに就いていた。
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