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048 : 枯れ井戸のウワサ
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「リュック、大丈夫か?」
「あ…あぁ…」
「どうしたんじゃ?」
「実は……」
リュックは話した。
最近、ずっと同じ女性の夢を見続けていることを…
そして、その女性が、ローズの言った幽霊とそっくりだという事を…
「そんな馬鹿な!
おまえさんが、女の夢を見出したのはもう何日も前からじゃないか。
第一、ここにはわしが誘わん限り、来ることはなかったはずじゃ。
なぜ、それなのにこの島に出る幽霊の夢を見るんじゃ?
辻褄が合わんじゃないか!」
「そんなこと、知るかよ!
でも、ばあさんの見た幽霊と俺の見た夢の女の人は本当によく似てるんだ。
若くて綺麗な女の人で…このあたりまでの長い金髪の巻き毛で…
山吹色のドレスの裾には…そう、白と黄色の花の刺繍が並んでるんだ…!」
「そうじゃ、そうじゃ!
まさにそのおなごじゃ!
青くて大きな目をしたべっぴんさんじゃ!」
「や、やめてくれよ!
その通りだよ!
俺が見た人も青くて大きな瞳をしてた…」
リュックはそう言って、小さく身震いした。
「しかし、不思議なもんじゃのぅ…
なぜ、おまえさんは来た事もないこの島の幽霊を夢に見たのか…
そうじゃ!明日は、枯れ井戸に行ってみようじゃないか。」
「ええええーーーーっっ!
いやだよ、俺、怖いよ…」
「リュック…行ってみてなにかがわかるかどうかはわからないが、ここまで話を聞いてしまってはその場所に行かないってわけにもいかないんじゃないか?」
「そうよ。リュック。
どういう意味かはわからないけど、行くべきよ!」
「だって、俺…」
リュックはすぐには決断出来ないようだった。
確かに彼の事情を考えれば、怖いのも当然だ。
「そういえば、ローズさん、
枯れ井戸に幽霊が出るということは、やはり、昔、そこでなにか事件があったということですか?」
「わしも詳しいことは知らんのじゃが、噂ではやはりそこに身投げしたおなごがおったということじゃ。
ずいぶんと昔のことじゃから本当かどうかはわからんが、若いおなごにはよくあることじゃからな。」
「ってことは、失恋かなにかかい?」
「きっと、そうなんじゃろうなぁ…」
その晩は明け方近くまで、その話でもちきりだった。
私は途中で眠ってしまったが、他の皆はほとんど眠らずに話し続けていたらしい。
「リュック、大丈夫か?」
「あ…あぁ…」
「どうしたんじゃ?」
「実は……」
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最近、ずっと同じ女性の夢を見続けていることを…
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「そんな馬鹿な!
おまえさんが、女の夢を見出したのはもう何日も前からじゃないか。
第一、ここにはわしが誘わん限り、来ることはなかったはずじゃ。
なぜ、それなのにこの島に出る幽霊の夢を見るんじゃ?
辻褄が合わんじゃないか!」
「そんなこと、知るかよ!
でも、ばあさんの見た幽霊と俺の見た夢の女の人は本当によく似てるんだ。
若くて綺麗な女の人で…このあたりまでの長い金髪の巻き毛で…
山吹色のドレスの裾には…そう、白と黄色の花の刺繍が並んでるんだ…!」
「そうじゃ、そうじゃ!
まさにそのおなごじゃ!
青くて大きな目をしたべっぴんさんじゃ!」
「や、やめてくれよ!
その通りだよ!
俺が見た人も青くて大きな瞳をしてた…」
リュックはそう言って、小さく身震いした。
「しかし、不思議なもんじゃのぅ…
なぜ、おまえさんは来た事もないこの島の幽霊を夢に見たのか…
そうじゃ!明日は、枯れ井戸に行ってみようじゃないか。」
「ええええーーーーっっ!
いやだよ、俺、怖いよ…」
「リュック…行ってみてなにかがわかるかどうかはわからないが、ここまで話を聞いてしまってはその場所に行かないってわけにもいかないんじゃないか?」
「そうよ。リュック。
どういう意味かはわからないけど、行くべきよ!」
「だって、俺…」
リュックはすぐには決断出来ないようだった。
確かに彼の事情を考えれば、怖いのも当然だ。
「そういえば、ローズさん、
枯れ井戸に幽霊が出るということは、やはり、昔、そこでなにか事件があったということですか?」
「わしも詳しいことは知らんのじゃが、噂ではやはりそこに身投げしたおなごがおったということじゃ。
ずいぶんと昔のことじゃから本当かどうかはわからんが、若いおなごにはよくあることじゃからな。」
「ってことは、失恋かなにかかい?」
「きっと、そうなんじゃろうなぁ…」
その晩は明け方近くまで、その話でもちきりだった。
私は途中で眠ってしまったが、他の皆はほとんど眠らずに話し続けていたらしい。
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