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048 : 枯れ井戸のウワサ
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「船だ!海賊船だ!
皆、来てくれ~~~!!」
静かな村の中に、漁師のただならぬ叫び声が響いた。
その声を聞きつけ、早朝だと言うのに浜辺にはあちらこちらから人が集まって来た。
「昨夜の嵐でやられたんだな…」
見るも無残に壊れたその船の折れたマストには、海賊を現す旗の残骸が付いていた。
この様子では船に乗っていた者はおそらく海に投げ出されてしまっただろうと推測されたが、もしもまだ生き残りが残っていたら大変だ。
力自慢の屈強な男と、華奢な若者が剣を携え、船内に乗りこんだ。
「…こいつはひでぇ…
こんな状態じゃ、生きてる奴なんていないだろうな。」
その男が言った通り、船内で首の骨がへし折れた乗組員の遺体が見つかった。
「まさか、この男が一人で乗ってたなんてことはないだろうが、他の者はどうしたんだろう?」
「きっと、海に投げ出されたんじゃないですかね。」
「生きてる者がいないか、もう少し調べてみよう。」
「ファビオさん、まさか、生きてる奴がいたら助けるつもりじゃないでしょうね。」
「そりゃあ…助けないわけにはいかないだろう。」
「何を言ってるんです。
こいつらは海賊ですよ。」
「海賊だろうがなんだろうが、ケガをしてる者がいたら助けるのは当然じゃないか、エディ。」
「ファビオさん、そんな人の好いことばかり言ってたら、いつか酷い目にあいますよ。
数年前にこの村の者があいつらにどんなことをされたか忘れたわけじゃないんでしょう?
あいつらに、情けなんてかけることはないんです。」
「………そうだな…」
二人は船内をくまなく探したが、先ほどの男の遺体の他には一人もみつからなかった。
「誰もいないようだな…」
「ファビオさん…ここは何でしょうね?」
エディが指差した先は、鍵の付いた小さな扉だった。
「わざわざ鍵がかけてあるってことは…もしかしたら?!」
「ファビオさん、ちょっと離れてて下さいよ。」
エディはファビオの言おうとすることを感じ取りそう言うと、小さな扉に向かって大きな足でその扉を蹴り上げた。
何度か蹴るうちに、バリバリと木が裂ける激しい音と共に扉が破れた。
中に入るやいなや、二人は自分たちの予想が間違っていなかったことを確認する。
「船だ!海賊船だ!
皆、来てくれ~~~!!」
静かな村の中に、漁師のただならぬ叫び声が響いた。
その声を聞きつけ、早朝だと言うのに浜辺にはあちらこちらから人が集まって来た。
「昨夜の嵐でやられたんだな…」
見るも無残に壊れたその船の折れたマストには、海賊を現す旗の残骸が付いていた。
この様子では船に乗っていた者はおそらく海に投げ出されてしまっただろうと推測されたが、もしもまだ生き残りが残っていたら大変だ。
力自慢の屈強な男と、華奢な若者が剣を携え、船内に乗りこんだ。
「…こいつはひでぇ…
こんな状態じゃ、生きてる奴なんていないだろうな。」
その男が言った通り、船内で首の骨がへし折れた乗組員の遺体が見つかった。
「まさか、この男が一人で乗ってたなんてことはないだろうが、他の者はどうしたんだろう?」
「きっと、海に投げ出されたんじゃないですかね。」
「生きてる者がいないか、もう少し調べてみよう。」
「ファビオさん、まさか、生きてる奴がいたら助けるつもりじゃないでしょうね。」
「そりゃあ…助けないわけにはいかないだろう。」
「何を言ってるんです。
こいつらは海賊ですよ。」
「海賊だろうがなんだろうが、ケガをしてる者がいたら助けるのは当然じゃないか、エディ。」
「ファビオさん、そんな人の好いことばかり言ってたら、いつか酷い目にあいますよ。
数年前にこの村の者があいつらにどんなことをされたか忘れたわけじゃないんでしょう?
あいつらに、情けなんてかけることはないんです。」
「………そうだな…」
二人は船内をくまなく探したが、先ほどの男の遺体の他には一人もみつからなかった。
「誰もいないようだな…」
「ファビオさん…ここは何でしょうね?」
エディが指差した先は、鍵の付いた小さな扉だった。
「わざわざ鍵がかけてあるってことは…もしかしたら?!」
「ファビオさん、ちょっと離れてて下さいよ。」
エディはファビオの言おうとすることを感じ取りそう言うと、小さな扉に向かって大きな足でその扉を蹴り上げた。
何度か蹴るうちに、バリバリと木が裂ける激しい音と共に扉が破れた。
中に入るやいなや、二人は自分たちの予想が間違っていなかったことを確認する。
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