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ルカ(聖夜月ルカ)

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048 : 枯れ井戸のウワサ

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「おかしなこともあるもんだな。
同じ人の夢を続けて見るなんて…
それで、今回もまたその人は泣いてたのか?」

「あぁ…狂ったように泣き叫んでいた…」

「まわりの景色とか…その人以外の者は見なかったのか?」

「誰も…
ただ、泣き叫ぶ女の人だけが出て来るんだ…
一体、どういうことなんだろう?
俺、気味が悪くなって来たよ。」

「そうだな。
同じ夢を続けて見るなんてめったにないことだし、何か意味がありそうな気がするな。」

「だが、どういう意味なのかはわからない…そこが悔しい所だな。」



夕方近くになって、籠いっぱいの薬草を背負ったクロワとジョセフが戻って来た。
クロワは休みもせずにすぐに夕食の準備にとりかかる。



「なんじゃ、まだそんなことを言うとるのか!」

「そんなこと言ったって、二度だぜ!
 二度も同じ夢を見ることなんて、そうあることじゃないぜ!」

「そりゃあおまえさんの言うとおりじゃが、それを考えた所でどうなる?
なにか答えが出ると言うのか?
いや、いずれは答えが出ることもあるかもしれん。
しかし、そういうもんは時が来んことには出ないもんなんじゃ。
それまでずっとそのことを思い悩んでいても何の解決にもなりゃせん。
だから、そんなことは忘れろ。
すっかり忘れろって言ってるんじゃないぞ。
その時が来るまで、忘れろと言うとるんじゃ。」

「……言われてみりゃあその通りだな。
よし、わかった!
俺、あの人のことはしばらく忘れることにするよ!」

「それがええ!
おぉ、そうじゃ!
明日は、船でちょっと遠出をしようじゃないか!
うまい果物の採れる小島があってな。
そういえば、あそこには薬草の自生する場所もあったぞ!」

「果物か~…だけど、小島って…
そこまでどうやって行くんだ?」

 「 心配するな!舟があるんじゃ!」



次の朝早く、ジョセフに連れられ、私達は茂みの中の細い小道を並んでついていった。



「こんな所に…!」



しばらく下るとそこは小さな入り江になっており、一艘の小舟が繋いであった。



「すごいもんじゃろ?
多分、ここは海賊達がいざという時の逃げ道として使ってた場所じゃないかと思うんじゃ。」

「そうみたいだな。
しかし、爺さん、よくこんな場所をみつけたもんだな。」


 
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