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036 : 太陽の番兵
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歌でこれほどまでに自分の心情を表現出来るとは、今まで思ってもみなかった。
オペラとは本当になんと素晴らしいものなのか…
こういう機会を与えてくれたクロワに今更ながら深い感謝の念が湧きあがって来るのを感じた。
ステージでは、仮面の騎士が姫のいる城へ向かう場面になっていた。
お互いにまだ相手の気持ちを知らないながらも、強くひかれあっている二人が早く幸せになってくれれば良いと思うのだが、当然ながらそうすんなりと話が進むわけはない。
仮面の騎士が城を訪ね、姫に会わせてほしいと頼むが、おまえのような得体の知れない者を姫に会わせるわけにはいかないと冷たく追い返されてしまう。
仮面の騎士は、何日も通いつめるがまるで相手にはされない。
それでもどうしても姫のことを諦めきれない仮面の騎士は、どうにかして姫に会う手立てはないものかと考え、暗くなってから城に忍び込むことを計画する。
ところが、夜になって、彼が城の近くに行くと城のまわりは煌煌としたまばゆい程の灯りに照らされている。
それは、王が雇った太陽の番兵だったのだ。
王は仮面の騎士がきっとこうやって来ることを予測し、先に手を打っていたというわけだ。
彼等はさながら小さな太陽。
彼等のお陰で夜でも城の一帯はまるで昼間のように明るい。
こんな状況では、とてもじゃないが城の中に忍び込むこと等出来ない。
仮面の騎士は、姫への募る想いを…
諦めきれない熱い想いを切々と歌いあげる。
城の姫も、愛する仮面の騎士がそんなに自分のことを想っていてくれることも、そして、自分に会いに来てくれていることさえも知らず、彼への伝わらない想いを物悲しく歌い上げる。
リュックはついに涙を流し、鼻をすすっている。
私はそんなリュックに、ハンカチを手渡した。
オペラとは本当になんと素晴らしいものなのか…
こういう機会を与えてくれたクロワに今更ながら深い感謝の念が湧きあがって来るのを感じた。
ステージでは、仮面の騎士が姫のいる城へ向かう場面になっていた。
お互いにまだ相手の気持ちを知らないながらも、強くひかれあっている二人が早く幸せになってくれれば良いと思うのだが、当然ながらそうすんなりと話が進むわけはない。
仮面の騎士が城を訪ね、姫に会わせてほしいと頼むが、おまえのような得体の知れない者を姫に会わせるわけにはいかないと冷たく追い返されてしまう。
仮面の騎士は、何日も通いつめるがまるで相手にはされない。
それでもどうしても姫のことを諦めきれない仮面の騎士は、どうにかして姫に会う手立てはないものかと考え、暗くなってから城に忍び込むことを計画する。
ところが、夜になって、彼が城の近くに行くと城のまわりは煌煌としたまばゆい程の灯りに照らされている。
それは、王が雇った太陽の番兵だったのだ。
王は仮面の騎士がきっとこうやって来ることを予測し、先に手を打っていたというわけだ。
彼等はさながら小さな太陽。
彼等のお陰で夜でも城の一帯はまるで昼間のように明るい。
こんな状況では、とてもじゃないが城の中に忍び込むこと等出来ない。
仮面の騎士は、姫への募る想いを…
諦めきれない熱い想いを切々と歌いあげる。
城の姫も、愛する仮面の騎士がそんなに自分のことを想っていてくれることも、そして、自分に会いに来てくれていることさえも知らず、彼への伝わらない想いを物悲しく歌い上げる。
リュックはついに涙を流し、鼻をすすっている。
私はそんなリュックに、ハンカチを手渡した。
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