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034 : 地下庭園
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大きな扉を開けるとそこは大理石を敷き詰めた広い玄関ポーチで、天井には煌くようなクリスタルのシャンデリアがかかっていた。
夜になれば蝋燭の光に照らされて、さぞ美しい光を灯してくれるのだろう。
それを抜け、私達は地下へと続く長い階段を降りて行った。
異常な程に長い階段だ。
階段の突き当たりには重そうな扉があり、私達の前を歩いていた男はその扉を力を込めてぐいと引き開けた。
「どうぞ、こちらです。」
「こ…これは…!!」
私は目の前に広がる光景が信じられなかった。
これが本当に地下だというのか…?!
陽の光がさんさんと射し込むその場所には、色とりどりの花々が咲き乱れている。
よく見ると、今の季節には見掛けることのないような花までもが咲いている。
噂に聞いていた通り、ここはまさにこの世の楽園のようだった。
「こちらへは初めてのようですな。」
その場に立ち尽くし、言葉を失っている私達に一人の老人が声をかけてきた。
「え、ええ…その通りです。」
私はそれだけを言うのがやっとだった。
リュックは、まだその光景に心を奪われたまま呆然としていた。
「私も初めてここへ来た時は、あなた方と同じようになりましたよ。
いやはや…大金持ちとはとんでもないことを考え付くものですな。」
私達は片隅のベンチに腰をかけ、老人からここについての話を聞いた。
なんでも、この庭園の奥の天井の一部は屋敷の屋根まで吹き抜けになっており、屋敷の屋根は硝子張りになっているということだった。
つまり、そこから太陽の光を地下に採り込み、さらにその光を無数の鏡の反射によって全体に行き渡らせるという仕組みらしい。
その他にも、壁の四方に明かり採りと風を取り込むための小さな窓のようなものが設えてあり、水は地下水脈からひいているそうだ。
「すごいとしか言えませんね。
まず、こんなに深い地下を掘っただけでも信じられない想いです。」
夜になれば蝋燭の光に照らされて、さぞ美しい光を灯してくれるのだろう。
それを抜け、私達は地下へと続く長い階段を降りて行った。
異常な程に長い階段だ。
階段の突き当たりには重そうな扉があり、私達の前を歩いていた男はその扉を力を込めてぐいと引き開けた。
「どうぞ、こちらです。」
「こ…これは…!!」
私は目の前に広がる光景が信じられなかった。
これが本当に地下だというのか…?!
陽の光がさんさんと射し込むその場所には、色とりどりの花々が咲き乱れている。
よく見ると、今の季節には見掛けることのないような花までもが咲いている。
噂に聞いていた通り、ここはまさにこの世の楽園のようだった。
「こちらへは初めてのようですな。」
その場に立ち尽くし、言葉を失っている私達に一人の老人が声をかけてきた。
「え、ええ…その通りです。」
私はそれだけを言うのがやっとだった。
リュックは、まだその光景に心を奪われたまま呆然としていた。
「私も初めてここへ来た時は、あなた方と同じようになりましたよ。
いやはや…大金持ちとはとんでもないことを考え付くものですな。」
私達は片隅のベンチに腰をかけ、老人からここについての話を聞いた。
なんでも、この庭園の奥の天井の一部は屋敷の屋根まで吹き抜けになっており、屋敷の屋根は硝子張りになっているということだった。
つまり、そこから太陽の光を地下に採り込み、さらにその光を無数の鏡の反射によって全体に行き渡らせるという仕組みらしい。
その他にも、壁の四方に明かり採りと風を取り込むための小さな窓のようなものが設えてあり、水は地下水脈からひいているそうだ。
「すごいとしか言えませんね。
まず、こんなに深い地下を掘っただけでも信じられない想いです。」
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