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034 : 地下庭園
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「私、明日はお客さんに薬を持って行く約束もしてますから、どうしても無理なんです。」
「明日って…オペラは明日なのですか?」
「そうみたいですよ。」
チケットを見てみると、確かに日付は明日になっていた。
「では、一枚は先ほどのご主人にお返しするのはいかがですか?」
「えーーっ!俺、知らない人とそんな所に行くのは不安だよ。
あんたが一緒に行ってくれないと…」
「子供みたいなことを言うなよ、リュック…」
「実は、私もそのことはさっき言ったんです。
せっかくの貴重なチケットですし、ご主人だけでも行かれてはどうかと…
でも、オペラを見たがっていたのは奥様の方だったのでご自分だけでは行く気はないとのことでした。」
「マルタン、頼むよ!
一緒に行ってくれよ!」
結局、リュックの強い希望もあり、オペラは私とリュックで見に行くことになった。
リュックは宿の主人に式服を借りた。
古いものだったが、女将の言った通り、サイズはぴったりだった。
私はイシドールの結婚式の時の式服で行くことにした。
もうこんなものは必要ないだろうと思い、荷物にもなることから手放そうとも思ったのだが、こんな所で役に立つとは…
「あぁ~、マルタン、なんだかドキドキして眠れないな。」
「おいおい。
観劇中に寝ないでくれよ!」
「当たり前だろ!
そんなもったいないことするかよ!
でも、心配だ…
俺、オペラなんて初めてだし。」
「私も多分初めてだ…」
「大丈夫かなぁ…?」
「大丈夫かだって?
なにも君が出るわけじゃないんだから…ただ、観てるだけなのだから大丈夫もなにもないだろう。」
「そりゃあそうだな。」
私達は顔を見合わせて笑った。
そして、ついに次の朝がやってきた。
あんなことを言っていながら、リュックは横になった途端に眠っていた。
眠れなかったのは私の方だ。
リュックには余裕のあるようなことを言っておきながら、その実はけっこう興奮していたようだ。
私が気になっていたのは、オペラのことだけではなく、バスティア家の噂の地下庭園と、そしてこの貴重なチケットのことだった。
金を積んだだけでは手に入らないとまで言われているチケットを手に入れてしまったことに興奮していたのではないだろうか?
いや、それよりも、このチケットの価格の事が気にかかっていたのか?
「明日って…オペラは明日なのですか?」
「そうみたいですよ。」
チケットを見てみると、確かに日付は明日になっていた。
「では、一枚は先ほどのご主人にお返しするのはいかがですか?」
「えーーっ!俺、知らない人とそんな所に行くのは不安だよ。
あんたが一緒に行ってくれないと…」
「子供みたいなことを言うなよ、リュック…」
「実は、私もそのことはさっき言ったんです。
せっかくの貴重なチケットですし、ご主人だけでも行かれてはどうかと…
でも、オペラを見たがっていたのは奥様の方だったのでご自分だけでは行く気はないとのことでした。」
「マルタン、頼むよ!
一緒に行ってくれよ!」
結局、リュックの強い希望もあり、オペラは私とリュックで見に行くことになった。
リュックは宿の主人に式服を借りた。
古いものだったが、女将の言った通り、サイズはぴったりだった。
私はイシドールの結婚式の時の式服で行くことにした。
もうこんなものは必要ないだろうと思い、荷物にもなることから手放そうとも思ったのだが、こんな所で役に立つとは…
「あぁ~、マルタン、なんだかドキドキして眠れないな。」
「おいおい。
観劇中に寝ないでくれよ!」
「当たり前だろ!
そんなもったいないことするかよ!
でも、心配だ…
俺、オペラなんて初めてだし。」
「私も多分初めてだ…」
「大丈夫かなぁ…?」
「大丈夫かだって?
なにも君が出るわけじゃないんだから…ただ、観てるだけなのだから大丈夫もなにもないだろう。」
「そりゃあそうだな。」
私達は顔を見合わせて笑った。
そして、ついに次の朝がやってきた。
あんなことを言っていながら、リュックは横になった途端に眠っていた。
眠れなかったのは私の方だ。
リュックには余裕のあるようなことを言っておきながら、その実はけっこう興奮していたようだ。
私が気になっていたのは、オペラのことだけではなく、バスティア家の噂の地下庭園と、そしてこの貴重なチケットのことだった。
金を積んだだけでは手に入らないとまで言われているチケットを手に入れてしまったことに興奮していたのではないだろうか?
いや、それよりも、このチケットの価格の事が気にかかっていたのか?
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