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ルカ(聖夜月ルカ)

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033 : 劇中歌

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「…と、いうわけなんだ。」

「クロワさんは面倒見の良い人なんだな。」

「あぁ…そのおかげで私も命拾いをした。
彼女は今までにも何人もの命を救ってるんだ。」

「……まるで、天使みたいだな…」



次の朝、そろそろ場所取りに行こうとしている所へクロワが戻って来た。

「クロワさん、お疲れ様です。
容態はいかがですか?」

「ええ、昨夜遅くになってやっと咳がおさまって、今朝は熱もずいぶんひいたんですよ。」

そう言って、クロワはにっこりと笑った。



「それは良かったです。
では、私は場所取りに行ってきます。
薬売りは私とリュックでしますから、あなたは休んでいて下さい。」

「私は大丈夫ですよ!」



そう言ってついて来ようとするクロワを説得し、私は教えてもらった場所に向かった。
まだ早い時間だというのに、すでに何組かの先客があった。
これは思ったよりも人気のある場所のようだ。

しばらくすると、リュックとクロワが薬を持ってやってきた。



「クロワさん、来られたんですか…」

「ええ、私、明るい時間は眠れないので、部屋にいても仕方ないですから。」



きっとこんなことになるだろうとは思っていた。
クロワは本当に休むと言う事を知らない女だ。
決して楽をしようとはしない。

着くなり、クロワとリュックはてきぱきと薬を並べ始め、あとのことは二人でするからと言われ、役立たずの私は広場を見て歩くことにした。

広場のあちらこちらで舞台の準備をする者や気の早い観客達が慌しく動いている。

私は、ふと広場の先に、一際目をひく大きな建物があることに気が付いた。
近づいてみると、壁面や柱に精密な彫刻が施されていることがわかった。
これは相当腕の良い職人達が、相当な年月をかけて造ったに違いない。
何かの施設なのだろうか?



「すごい屋敷だろう?」

建物をみつめる私の背後から声が聞こえた。



「あれは個人のお屋敷なのですか?」

「そうさ、あんた、まさか大金持ちの貴族・バスティア家を知らないのか?」

「この町に来たのは初めてなのです。
しかし、本当に見事な装飾ですね。」

「この屋敷が出来あがるのには何十年もかかってるんだからな。
これほどの屋敷は、どこにもないだろうよ。
でもな、すごいのは外観だけじゃないんだ。」


 
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