296 / 641
031 : 呪縛
12
しおりを挟む
「……あんた、旅をしてるって言ったよな?
俺も連れて行ってくれないか?」
「私と一緒に旅を…?!」
私は、リュックの思いがけない申し出に面食らってしまった。
気持ち的には、すぐにでも「あぁ、良いさ…」と、言ってやりたいのだが、私がそう言うことで彼が背中を押され小人の所へ行く事をやめてしまえば、彼はそのことによってすぐにでも命を失ってしまうかもしれないのだ。
私はそのことを率直に彼に伝えた。
「命に関わる問題だ。
ゆっくりと考えてみてくれ。」
「わかった…でも、もしも俺の気持ちが固まったら、本当に俺を一緒に旅に連れて行ってくれるんだな?」
「あぁ、安心しろ。それは約束する。」
「……もしも、途中で俺の身体に何かが起こって足手まといになったら…
……その時は置いて行ってくれて構わないからな。」
そう言って無理に微笑むリュックを見ていると、まるで自分の弟のように思えて愛しくなってくる。
本当は私よりも遥かに年上だというのに…
この男は、身体的な年を取らなかっただけではなく、精神的な年も取っていないように思えた。
「でも、あんたと一緒に旅をしてる人が駄目だとは言わないかな?」
「彼女はそんなことを言う人では…」
そう言いかけて、気が付いた。
クロワのことをすっかり忘れていたことに…!
私は隣の部屋に行き、窓の外を見るとあたりはもう漆黒の闇に包まれていた。
リュックと二人でかなり長い間、話しこんでいたようだ。
「どうしたんだ?いきなり…」
「連れの女性に、私がここにいることを言ってなかったんだ…」
「そうだったのか…
俺が急にあんたを引き留めたからな。
でも、もうこんな時間だ。きっとこのあたりにはいないぜ。
町に戻ったんじゃないか?」
「そうだな…」
またクロワに心配をかけることになってしまった。
すぐにでも町に行こうかと思ったが、しかし、こんな時間に町まで歩くのは危険だ。
リュックの言う通り、クロワはきっと町にいるだろう。
私は今夜はこのままリュックの家に泊めてもらうことにした。
俺も連れて行ってくれないか?」
「私と一緒に旅を…?!」
私は、リュックの思いがけない申し出に面食らってしまった。
気持ち的には、すぐにでも「あぁ、良いさ…」と、言ってやりたいのだが、私がそう言うことで彼が背中を押され小人の所へ行く事をやめてしまえば、彼はそのことによってすぐにでも命を失ってしまうかもしれないのだ。
私はそのことを率直に彼に伝えた。
「命に関わる問題だ。
ゆっくりと考えてみてくれ。」
「わかった…でも、もしも俺の気持ちが固まったら、本当に俺を一緒に旅に連れて行ってくれるんだな?」
「あぁ、安心しろ。それは約束する。」
「……もしも、途中で俺の身体に何かが起こって足手まといになったら…
……その時は置いて行ってくれて構わないからな。」
そう言って無理に微笑むリュックを見ていると、まるで自分の弟のように思えて愛しくなってくる。
本当は私よりも遥かに年上だというのに…
この男は、身体的な年を取らなかっただけではなく、精神的な年も取っていないように思えた。
「でも、あんたと一緒に旅をしてる人が駄目だとは言わないかな?」
「彼女はそんなことを言う人では…」
そう言いかけて、気が付いた。
クロワのことをすっかり忘れていたことに…!
私は隣の部屋に行き、窓の外を見るとあたりはもう漆黒の闇に包まれていた。
リュックと二人でかなり長い間、話しこんでいたようだ。
「どうしたんだ?いきなり…」
「連れの女性に、私がここにいることを言ってなかったんだ…」
「そうだったのか…
俺が急にあんたを引き留めたからな。
でも、もうこんな時間だ。きっとこのあたりにはいないぜ。
町に戻ったんじゃないか?」
「そうだな…」
またクロワに心配をかけることになってしまった。
すぐにでも町に行こうかと思ったが、しかし、こんな時間に町まで歩くのは危険だ。
リュックの言う通り、クロワはきっと町にいるだろう。
私は今夜はこのままリュックの家に泊めてもらうことにした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる