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031 : 呪縛
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「すまなかったな。
そういうわけだから、来れなかったんだ。」
ちびすけ共は皆、不機嫌な顔をしている。
「俺は、幸い、なんともなかったんだけどな。」
『薬のおかげ。』
「薬?
俺は、薬なんて飲んじゃいないさ。」
ちびは、いつもの緑の玉を差し出した。
『薬。
これ飲んでると、どんな病気もかからない。』
「えっ!?」
わけもわからないままにずっと飲まされてきたこの玉は薬だったというのか?
確かに、俺の町では症状の重さにこそ違いはあったが、ほぼ皆が風邪にやられてしまってた。
まったくなんともなかったのは、俺だけだと言っても良いくらいだった。
それがあの薬のせいだというのか?
そういえば、あの薬を飲むようになってから、まるで病気をしないようになっていたことに気がついた。
元々、元気な方ではあったが、寒いと軽い鼻風邪をひくこともあったし、食べ過ぎれば腹が痛いことだってあった。
ところが、そういうものが最近ではまるでなかったのだ。
とはいえ、やはり、まだ半信半疑だった。
これが、もっと…そう、かかった者がほとんど死に至るような重い病気なら信じられるかもしれないが、所詮は風邪だから。
たまたま移らなかったってだけのことなのかもしれない。
それから、結局、その話の真偽を確かめる術がないままに、俺は、そのままちび達の所を訪れ、気が付けば十年近い歳月が経っていた。
俺は商店街の中央付近の一等地に、自宅を兼ねた店を構えていた。
自分の店は三十前には持ちたいと思ってたから、ギリギリで間に合ったって所だな。
まぁ、それほど大きな店ではないが、今まで借りていた町はずれの店に比べると倍以上の広さがある。
将来的にはもっと大きな店を持ちたいと思っていたが、やっと夢が叶い、生活が安定して心にもゆとりみたいなものが生まれて来ていた。
これからは、可愛い嫁さんでもみつけて、その先はその人と一緒に頑張っていけたら嬉しいが…なんてな。
しかし、今みたいに忙しい毎日じゃ、女と知り合うことだって難しい。
少し、仕事のペースを落とすか?だが、そんなことをしたらすぐに売上げが下がってしまう。
きのこなんてみみっちぃもんじゃなく、もっと大きく儲かるものを扱うべきか?
それには何が良い…?
そうなると、きっと売りに行く先も変わって来るだろう。
そうなったら、ちびすけ達にはなんて言おう?
そういうわけだから、来れなかったんだ。」
ちびすけ共は皆、不機嫌な顔をしている。
「俺は、幸い、なんともなかったんだけどな。」
『薬のおかげ。』
「薬?
俺は、薬なんて飲んじゃいないさ。」
ちびは、いつもの緑の玉を差し出した。
『薬。
これ飲んでると、どんな病気もかからない。』
「えっ!?」
わけもわからないままにずっと飲まされてきたこの玉は薬だったというのか?
確かに、俺の町では症状の重さにこそ違いはあったが、ほぼ皆が風邪にやられてしまってた。
まったくなんともなかったのは、俺だけだと言っても良いくらいだった。
それがあの薬のせいだというのか?
そういえば、あの薬を飲むようになってから、まるで病気をしないようになっていたことに気がついた。
元々、元気な方ではあったが、寒いと軽い鼻風邪をひくこともあったし、食べ過ぎれば腹が痛いことだってあった。
ところが、そういうものが最近ではまるでなかったのだ。
とはいえ、やはり、まだ半信半疑だった。
これが、もっと…そう、かかった者がほとんど死に至るような重い病気なら信じられるかもしれないが、所詮は風邪だから。
たまたま移らなかったってだけのことなのかもしれない。
それから、結局、その話の真偽を確かめる術がないままに、俺は、そのままちび達の所を訪れ、気が付けば十年近い歳月が経っていた。
俺は商店街の中央付近の一等地に、自宅を兼ねた店を構えていた。
自分の店は三十前には持ちたいと思ってたから、ギリギリで間に合ったって所だな。
まぁ、それほど大きな店ではないが、今まで借りていた町はずれの店に比べると倍以上の広さがある。
将来的にはもっと大きな店を持ちたいと思っていたが、やっと夢が叶い、生活が安定して心にもゆとりみたいなものが生まれて来ていた。
これからは、可愛い嫁さんでもみつけて、その先はその人と一緒に頑張っていけたら嬉しいが…なんてな。
しかし、今みたいに忙しい毎日じゃ、女と知り合うことだって難しい。
少し、仕事のペースを落とすか?だが、そんなことをしたらすぐに売上げが下がってしまう。
きのこなんてみみっちぃもんじゃなく、もっと大きく儲かるものを扱うべきか?
それには何が良い…?
そうなると、きっと売りに行く先も変わって来るだろう。
そうなったら、ちびすけ達にはなんて言おう?
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