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ルカ（聖夜月ルカ）

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030 ：交易商人

５

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「驚かないでくれよ、マルタン。
実は、俺は…小人を相手に商売をやってるんだ。
…いや、『商売』なんてもんじゃないな。
俺は、小人と商売を続けていることで生き永らえている…
逆に言えば、小人がいないと俺は生きてはいられない…」

「リュック…やけに難しい言い回しをするんだな。
もう少し分かりやすく話してくれないか。」

「そうだな…少しわかりにくかったかもしれないな…」

そう言ったっきり、リュックの動きが止まった。

リュックは一点をみつめ、なにかを考えているようだった。

「悪かったな、マルタン。
今の話は忘れてくれ。
……なんでもないんだ。」

「リュック…
そりゃあ、俺達はさっき知り合ったばかりだ。
信用しろと言う方が無理かもしれない。
言いたくなければ、言わなくても良いんだが…
しかし、もしも、話すことで君の気持ちが少しでも楽になるのなら…話してみてはどうだ？
私は、ここで聞いた話は誰にも話さない。」

「マルタン…」

リュックのすがるような瞳の奥に、彼の心の中の暗闇を垣間見たような気がした。
彼は何かとても苦しい想いを胸に秘めているのだろう…

手放してしまいたい…楽になりたい！
彼は、きっとそう思いながらも、その事が大き過ぎて話すことを躊躇っているのだろう。

冷たいようだが、それを話すか話さないかは彼が選ぶことなのだ。
私にはこれ以上、彼にかける言葉はない。

私は黙って彼の言葉を待っていた。

「ありがとう、マルタン…
あんた、本当に良い人だな…」

リュックは、グラスの酒を一気に飲み干すと、一息ついてからぽつりぽつりと話し始めた。

それは、とても信じられない話だった…

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