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ルカ(聖夜月ルカ)

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029 : 星月夜

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宿の主人に聞いた所によると、この道は以前は異国との交易で栄えた港に続くとても大きな町だったようだ。
しかし、もっと大きな港が違う場所に出来てからは衰退の一途を辿り、今ではその頃の名残の石畳の道だけとなり、やがてその周りに店が立ち並ぶようになったのだという。



「今ではこの道が賑わうのは、シャトランの大会の前後だけだね。
後はロマンチストな旅行客を待つしかないんだ。」

「ロマンチストな観光客…ですか?」

「そうだよ。もう少し暗くなるとわかるさ…」

私達はしばらくの間、宿の主人と他愛ない雑談をしていた。



「もうそろそろかな…
ちょっと、そのあたりを散歩してきたらどうだい?」

宿の主人のすすめで私達は外に出た。



「まぁ、綺麗…!!」

空には眩い程の無数の星が煌めいていた。
まるで、自分たちの美しさを競い合うように輝き、星空を明るく照らしている。



 「これほど美しい星空を見たら、誰もがロマンチストになってしまいそうですね。」

 「おっしゃる通りです。
ここでは、月さえもかすんで見える程ですね…」


私達は星々の瞬きをただうっとりと眺めていた。



「どうだい?
私の言った意味がわかったかい?」

「ええ…本当に綺麗な星空でした。」

「あんたらは夫婦なのかい?
それともまだ結婚はしていないのか?」

「い、いえ、私達はそんなんじゃありません。
ただの旅のパートナーです。」

 「なんだ、そうなのか。
実は、この場所でプロポーズをしたら、必ずOKしてもらえるって言われてるんだぜ。」

「わかるような気がします。
こんなに美しい星を見ていたら、ついそういう気持ちになってしまいそうですよね。
まるで星たちに祝福されてるような気分になるのではないでしょうか。」

「あんたも相当なロマンチストだな!」



宿の主人の話によると、この先には小さな町があるという。
昔栄えたこの町に住んでいた交易商人達が移り住んだ町らしい。
今では住む者も少ないというその町を通り、私達はその先に進むことにした。

 
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