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ルカ(聖夜月ルカ)

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027 : 月の船

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「ぼっとしてる暇はないわよ。急がなきゃ!」

「……セリス…私は行かない…」

「え…?」

「私は会場には行かない…
そして、シャトランもやめる…」

「あなた、どうしたの?」

「セリス、そしてアニー…
今まですまなかった。
私はどうかしていたんだ。
シャトランの試合に勝つことで頭がいっぱいで、何が一番大切なものなのかを見失っていた。
だが、わかったんだ…
私にとって一番大切なものはお前たちだ、そして私を育ててくれた両親…
家族より大切なものはなかったんだ。
私はシャトランをやめる。
もちろん、酒も…
新しい職を探し、一生懸命に働く。
だから、どうかお願いだ。
私の所へ戻ってきてほしい。
すぐでなくてもかまわないんだ。
あんなにひどいことをしたんだもんな。
すぐに許してくれと言っても無理な話だ。
でも、どうか…戻ってきてほしい。
いつでも良いんだ!
私にはおまえたちしかいないんだ!
頼む…」

「マクシム…」

「パパ…何を言ってるの?!
ここまで来たんじゃない。
パパがここまで来るのに、どれほど苦労してきたか、私、知ってるよ。
パパのこと、一時は嫌いにもなったけど、でも、応援してたんだよ。
パパは私の誇りだもん。
今日だって、絶対に勝てると信じてるよ。」

「アニー…!」



 私はアニーを抱き締めた。
アニーの率直な言葉を聞いて、熱いものがこみあげてきた。

私のことを誇りだ等と言ってくれるのか…
こんなつまらない私のことを…



「そうよ、マクシム!
私だって、ずっとあなたのことは応援してたわ。
あなたなら、覇者になれると信じてた。
……私も悪かったのよ…
私にもっと広い心があれば、もっとあなたの支えになれたのかもしれないのに…ごめんなさい…」

「なにをいうんだ、セリス…
悪いのはすべて私なんだ。
シャトランのことしか考えられなくなっていた…」

「今まで誰一人としてなしえなかった十連覇がかかってるんだもの、そうなるのも当たり前だわ。
私は、あなたのそんな気持ちをもっと理解するべきだったのよ。」

「セリス…ありがとう…」



家族の気持ちがやっと一つになれた気がした。
お互いが、お互いの気持ちを思いやれば、こんなにも簡単に家族の気持ちはまとまるものだったのか…

私は家族の愛を感じることが出来た。
心の中が暖かいもので満たされたのを感じた。

 
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