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024 : 贖罪
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「いえ、迷惑なんてことはありません。
第一、偉そうなことを言って、あなたを焚きつけたのは私なんですから…
あなたはまだ身体も本調子ではないのだし、一人では心配ですよ。
その村へは遠いのですか?」
「さほど遠くはありません。
一週間もかからないと思います。」
「一週間ですか…
それでは、そう近いとも言えませんね。
旅の途中で何かあっては大変ですし、ぜひ、同行させて下さい!」
「ありがとうございます、マルタンさん…
あなた方には、本当に世話になってしまいましたね…」
ケウィンは、私の手を両手で握り締めた。
ふと、クロワがなんともいえない浮かない表情をしていることに私は気が付いた。
いつものクロワなら、こういう時は率先してついていきたがるものなのに…
なにか、行きたくない理由でもあるのだろうか…?
私はその夜、クロワにそのことを聞いてみた。
「クロワさん、あなたはケヴィンの故郷の村へは行くのがいやなのですか…?」
「…いえ…そんなことは…」
「そうですか。
気が進まないように見えたものですから…」
「すみません。
最近、ちょっと疲れているのかもしれません。
……あの…マルタンさん…」
「なんですか?」
「……あ…なんでもないんです。
ごめんなさい…」
クロワが私に言いたかったことが何だったのか…
その時の私は、それを考えることすらしなかった…
第一、偉そうなことを言って、あなたを焚きつけたのは私なんですから…
あなたはまだ身体も本調子ではないのだし、一人では心配ですよ。
その村へは遠いのですか?」
「さほど遠くはありません。
一週間もかからないと思います。」
「一週間ですか…
それでは、そう近いとも言えませんね。
旅の途中で何かあっては大変ですし、ぜひ、同行させて下さい!」
「ありがとうございます、マルタンさん…
あなた方には、本当に世話になってしまいましたね…」
ケウィンは、私の手を両手で握り締めた。
ふと、クロワがなんともいえない浮かない表情をしていることに私は気が付いた。
いつものクロワなら、こういう時は率先してついていきたがるものなのに…
なにか、行きたくない理由でもあるのだろうか…?
私はその夜、クロワにそのことを聞いてみた。
「クロワさん、あなたはケヴィンの故郷の村へは行くのがいやなのですか…?」
「…いえ…そんなことは…」
「そうですか。
気が進まないように見えたものですから…」
「すみません。
最近、ちょっと疲れているのかもしれません。
……あの…マルタンさん…」
「なんですか?」
「……あ…なんでもないんです。
ごめんなさい…」
クロワが私に言いたかったことが何だったのか…
その時の私は、それを考えることすらしなかった…
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