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023 : 華燭の典
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「なぜそんなことを?!」
「なぜって…俺は竜殺しの呪われた一族じゃないか。
誰かを好きになれば、その人を不幸してしまう…
もしも子供が出来れば…その子にも俺と同じ痣があれば、またその子を不幸にしてしまう…だから…」
「あんたはあの村を出たのよ!
ここにいればそんなこと誰にも知れやしないわ。
誰にもいじめられることもない。
だから、そんなこと考えなくて良いじゃない!
第一、私はあんたの事情なんてずっと前から知ってるのよ。
今更気にする事もないじゃないの!」
「それだけじゃない…
俺は…マリアンヌが襲われそうになった時…あいつらにまったく歯が立たなかった…
誰かが助けに来てくれなかったら、君があの後どうなってたかと考えると死にたいような気持ちになった…
俺は大人になっても君のことが守れない情けない男なんだ。
そんな俺が君に好きだなんて言えないじゃないか!」
「イシドール…あんた、そんなこと考えてたの…
あんたはあんなに酷い目にあっても奴らと闘ってくれたじゃないの。
まさに命がけだった…
たとえ、あのままあの男達になにかされてたとしても、私はあんたに感謝してたわ…」
「本当か!?
そんなこと言ってもらえるなんて夢みたいだ…
きっと俺はマリアンヌに軽蔑されてると思ってた…駄目な男だって思われてるって……
……マリアンヌ……俺…マルタンさんに頼んでみるよ!
やっぱり、俺はマリアンヌが好きだ…!
マルタンさんには渡せない!
……俺…強くなるよ!
どんな時にも君のことを守れる男になる…!
だから、マルタンさんとは結婚しないでくれ!」
「イシドール…!!」
イシドールとマリアンヌは強く抱き合い、お互いの唇を重ねた…
「マリアンヌ…愛してるよ…」
「イシドール…嬉しいわ…
やっと、約束を守ってくれたのね…」
「約束…?」
「なんだ…やっぱり覚えてないのね…
私達、子供の頃こうやってキスしたことがあったのよ。
その時、あんたは言ったのよ。
『これは結婚の約束の印だ』って…」
「俺がそんなことを…?」
「そうよ!まだ五つか六つだったのに、あんたはませた子だったのよ!」
「やめてくれよ、俺、そんなこと覚えてないよ。
恥ずかしいじゃないか…」
イシドールは頬を染め、そっと俯いた。
「まぁ、いいわ…約束を守ってくれたから許してあげる!
でも…マルタンさんはわかってくれるかしら?」
「……それは俺が必ずなんとかするよ…!」
「なぜって…俺は竜殺しの呪われた一族じゃないか。
誰かを好きになれば、その人を不幸してしまう…
もしも子供が出来れば…その子にも俺と同じ痣があれば、またその子を不幸にしてしまう…だから…」
「あんたはあの村を出たのよ!
ここにいればそんなこと誰にも知れやしないわ。
誰にもいじめられることもない。
だから、そんなこと考えなくて良いじゃない!
第一、私はあんたの事情なんてずっと前から知ってるのよ。
今更気にする事もないじゃないの!」
「それだけじゃない…
俺は…マリアンヌが襲われそうになった時…あいつらにまったく歯が立たなかった…
誰かが助けに来てくれなかったら、君があの後どうなってたかと考えると死にたいような気持ちになった…
俺は大人になっても君のことが守れない情けない男なんだ。
そんな俺が君に好きだなんて言えないじゃないか!」
「イシドール…あんた、そんなこと考えてたの…
あんたはあんなに酷い目にあっても奴らと闘ってくれたじゃないの。
まさに命がけだった…
たとえ、あのままあの男達になにかされてたとしても、私はあんたに感謝してたわ…」
「本当か!?
そんなこと言ってもらえるなんて夢みたいだ…
きっと俺はマリアンヌに軽蔑されてると思ってた…駄目な男だって思われてるって……
……マリアンヌ……俺…マルタンさんに頼んでみるよ!
やっぱり、俺はマリアンヌが好きだ…!
マルタンさんには渡せない!
……俺…強くなるよ!
どんな時にも君のことを守れる男になる…!
だから、マルタンさんとは結婚しないでくれ!」
「イシドール…!!」
イシドールとマリアンヌは強く抱き合い、お互いの唇を重ねた…
「マリアンヌ…愛してるよ…」
「イシドール…嬉しいわ…
やっと、約束を守ってくれたのね…」
「約束…?」
「なんだ…やっぱり覚えてないのね…
私達、子供の頃こうやってキスしたことがあったのよ。
その時、あんたは言ったのよ。
『これは結婚の約束の印だ』って…」
「俺がそんなことを…?」
「そうよ!まだ五つか六つだったのに、あんたはませた子だったのよ!」
「やめてくれよ、俺、そんなこと覚えてないよ。
恥ずかしいじゃないか…」
イシドールは頬を染め、そっと俯いた。
「まぁ、いいわ…約束を守ってくれたから許してあげる!
でも…マルタンさんはわかってくれるかしら?」
「……それは俺が必ずなんとかするよ…!」
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