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019 : 人魚の恋
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それ以来、俺は何をしていてもあの人魚のことを考えてしまうようになった。
俺はこの話を誰にも話さなかった。
当然のことだ。
そんなこと、誰も信じはしないだろうから。
そんなことを言う奴がいたら、俺はきっとそいつのことを頭のおかしい奴だと思うだろう。
だから、俺は誰にも言わないことにした。
数日後、俺はまた海に出た。
同じ場所で小舟に揺られながら、あの女が現れるのをただひたすらに待った。
ずっと…
それほどまでに俺の心の中には彼女が棲み付き、会いたくてたまらなかったのだ。
どのくらい経った時だろう…近くで水のはねる音がした。
彼女だ!
直感的にそう思い、俺は思わず海に飛び込んだ!
俺の直感は当っていた。
海中にはあの女がいた…
漆黒の長い髪をゆらゆらと揺らしながら…
女は俺の姿を見ると、逃げ出そうとした。
俺は水面に顔を出し、女の泳いで行った方に向かって叫んだ。
「待ってくれ!
信じてくれ!なにもしない。
おまえに会いたかっただけなんだ!」
女が水面に顔を表し、振り向いた。
俺は女のそばまで泳いでいったが、女はもう逃げなかった。
間近で見る彼女の姿に俺の胸は高鳴った。
美しい…
白い肌に艶やかな黒い髪が張り付くようにまとわりついている姿はとても悩ましい…
俺は思わず彼女の髪をなでた。
女は一瞬、身をこわばらせたが、俺に悪意がないことをわかってくれたのかそのまま俺にされるがままになっていた。
それから俺たちは一緒に海を泳いだ。
とても楽しい時間だった。
まるで、俺までもが人魚になってしまったように思えた。
彼女の微笑を見ていると、疲れも感じない…
ずっとこのまま一緒にいたかったのだが、日が落ちてきたのでその日は仕方なく帰ることにした。
「じゃ、また、明日も来るから…」
俺は、彼女を抱き締め口付けた。
俺はこの話を誰にも話さなかった。
当然のことだ。
そんなこと、誰も信じはしないだろうから。
そんなことを言う奴がいたら、俺はきっとそいつのことを頭のおかしい奴だと思うだろう。
だから、俺は誰にも言わないことにした。
数日後、俺はまた海に出た。
同じ場所で小舟に揺られながら、あの女が現れるのをただひたすらに待った。
ずっと…
それほどまでに俺の心の中には彼女が棲み付き、会いたくてたまらなかったのだ。
どのくらい経った時だろう…近くで水のはねる音がした。
彼女だ!
直感的にそう思い、俺は思わず海に飛び込んだ!
俺の直感は当っていた。
海中にはあの女がいた…
漆黒の長い髪をゆらゆらと揺らしながら…
女は俺の姿を見ると、逃げ出そうとした。
俺は水面に顔を出し、女の泳いで行った方に向かって叫んだ。
「待ってくれ!
信じてくれ!なにもしない。
おまえに会いたかっただけなんだ!」
女が水面に顔を表し、振り向いた。
俺は女のそばまで泳いでいったが、女はもう逃げなかった。
間近で見る彼女の姿に俺の胸は高鳴った。
美しい…
白い肌に艶やかな黒い髪が張り付くようにまとわりついている姿はとても悩ましい…
俺は思わず彼女の髪をなでた。
女は一瞬、身をこわばらせたが、俺に悪意がないことをわかってくれたのかそのまま俺にされるがままになっていた。
それから俺たちは一緒に海を泳いだ。
とても楽しい時間だった。
まるで、俺までもが人魚になってしまったように思えた。
彼女の微笑を見ていると、疲れも感じない…
ずっとこのまま一緒にいたかったのだが、日が落ちてきたのでその日は仕方なく帰ることにした。
「じゃ、また、明日も来るから…」
俺は、彼女を抱き締め口付けた。
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