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ルカ(聖夜月ルカ)

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016 : 迷宮都市

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「そ、そんな…!!
そいつらのアジトはどこなんです?
早く助けに行かないと!」

「俺たちもこの町の道はわかっていても、どこにどんな奴らが住んでるかはほとんどわからない。
しかも、相手はプロだぞ。
……残念だが、諦めることだな…」

「そんなこと…!
今から探してきます!」

「よしな、無理だ。」

「無理かどうか、やってみなくてはわからない!」

「……落ち着きなって。
とりあえずはうちに行こう。」

「そんなことをしてるうちになにかあったら…」

「やみくもに動いても良い結果は出ないぜ。
とにかく、うちへ来な!」

男に促され、私は仕方なく彼の家についていった。

広場からけっこう離れているように感じたが、それは入りくんだ町のせいかもしれない。



「おかえりなさい。あ……」

男の家には若い女がいた。
とても可愛らしい子だったが、足が悪いらしく車椅子に乗っていた。



「心配すんな。父さんの友達だ。」

「…そうなの…」

「はじめまして。マルタンと言います。
突然訪ねて申し訳ありません。」

「いえ…」

娘はすぐに奥へ引っ込んでしまった。



「あんた、マルタンっていうのか、俺はゴーチェ。
さっきのは俺の娘でマリアンヌって言うんだ。
二人でここに住んでる。
あ、今、めしの支度をするからな。」

クロワとイシドールのことは心配でたまらなかったが、ゴーチェの言う通り、今、やみくもに動いても状況はよくはならない。
ゴーチェが私をここに連れてきたのには、なにか考えがあってのことだろう。
私はそれを信じてみることにした。

ゴーチェの用意してくれた食事をさっきの娘と三人で食べた。

マリアンヌは食事中も一言もしゃべることなく、ただ黙々と食べ物を口に運んでいた。

そして、食事が済むと部屋に戻ってしまう。



「…いつもあんな調子なんだ…」

そう言って、ゴーチェは苦笑した。



「なにかあったんですか?」

「……足が悪くなるまでは、あんなじゃなかったんだけどな…」

それ以上のことは、躊躇われたので聞かなかった。



「そんなことより…これを見てくれ。」

ゴーチェが見せたのは数枚に渡る町の見取り図だった。



「これは、俺がここへ来てから少しづつ描きためたもんだ。
一応、階層ごとに分けてあるんだが違う階から無理に繋がっている場所もある。
とにかく、この町を作った奴はよほどの天才か狂人だな。」 

 
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