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ルカ(聖夜月ルカ)

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015 : 流星群

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私達は死に絶えた町を後にした。
 次の町へはさほど離れてはいないはずだ。

町に近付くにつれ、ざわざわとした人々の喧騒が聞こえてきた。

地図を見る限りでは、そこは小さな田舎町といった印象だったのだが…何かあったのだろうか?

町の中には、大勢の人間がひしめいていた。



「どうしてこんなに人が…?」

あたりを見まわす私に千鳥足の男がぶつかってきた。



「おっと、すまねぇな。
まだそんなに飲んじゃいないのに、足が言うことをきかねぇぜ。
…あんた達も星を見に来たのかい?」

「星を?」

「なんだ、知らないできたのか?
しかし、それはツイてたぜ!
今夜は何百年かに一度の流星群が見られるって話だからな。」

「流星群…ですか?!」

「そうさ。
流れ星に願い事をすると願いが叶うって言うだろう?
それがいっぺんに山ほど見られるわけだからな。
その分、ご利益もすごいってことだ。」

「しかし、どうしてみんなここへ?
ここでなくても流星群は見えるんじゃないですか?」

「おまえさん、本当に何も知らねぇんだな。
ここには星見の丘ってのがあってな。
ふだんから星がよく見えるって言われる場所だったのさ。
だから、みんなここに集まってきたんだな。」

「そうだったんですか…」

良い時に来たと喜ぶべきなのか、あるいはその逆なのか…

 
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