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ルカ(聖夜月ルカ)

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013 : 背信者

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その日が一週間後のことだったのだ。
 俺はツイてる!
この機を逃したら、来年まで待たなくてはならない所だったのだから。

その日までこの家にいついてやろうと思い、俺は家族に同情したふりをした。
 皆に親切に振るまい、昼間は農場の手伝いまでやってやった。家族は俺にすっかり心を開いていた。



やがて、ついに娘が連れていかれる日がやってきた。

「父さん、母さん、そして兄さん…どうか悲しまないで下さい。
私は町のため、喜んで行くのですから…」

「ジャンヌ……」



ジャンヌは町の者達の運ぶ籠に載せられ、滝壺のほとりまで連れて行かれた。
 籠を置くと町の者達はすぐに逃げ去った。

 俺は物陰にじっと身を潜め、竜が現れるのを待った。
 程なくして滝壺の中央がぶくぶくと泡立ち、天をつくような金色の竜が現れたのだ。

たまげた!こんなものが本当にいやがったのか…!

しかし、驚いてばかりもいられない。
俺はすかさず、竜の眠り草の束を投げつけた。
すると、すぐに竜の様子がおかしくなり、やがてぐっすりと眠り始めた。



「ヨシムさん…!」

ジャンヌの声を無視し、俺は慎重に竜に近付き力を込めて長剣を振り下ろした。
まるで赤い噴水のような血しぶきが飛び散り、そして大きな首が胴体から離れた。



やった…
俺はついに竜をみつけ、そして仕留めたのだ…!
あとは心臓を取り出すだけ…
そう思った時のことだった。



「ヨシムさんっっ!」

「ピエールじゃないか!」

 「あなた…な、なんてことを…守り神である竜の神を斬るなんて…
あ…!あなたは、もしかして、ジャンヌを助けようとして…」

「あ…あぁ、そうなんだ。
俺はジャンヌのことをどうしても助けたくてな…それでついこんなことを…」

「そうでしたか…
あなたはなんて優しい方なんだ…ありがとうございます。
感謝します。
ですが、守り神である竜を殺すなんて…このことが皆に知れたら……そ、そうだ…!竜の神を斬ったのは私だということにしましょう…!
ヨシムさんは関係ない…
ジャンヌ…おまえはすぐに逃げなさい!
 出来るだけ遠くへな。
 私がここへ来た時はもうおまえは食べられた後だったということにするんだ。」

「父さん…」



そして、ピエールがジャンヌの閉じ込められたかごを開けようとした時…



「きゃあ~~~!父さん!!」

 
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