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013 : 背信者
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「ま、待て…わかった。
やるさ、だがいつまでかかるからわからんぞ。
なんせ探しものは『竜の心臓』なんだからな。」
「それはかまわん。
とにかく、ちゃんと探せば良いのだ。」
……かくして俺は竜の心臓を探すことになった。
黒いローブの男はどこに行っても必ずついてきていた。
まるで私の影のように、つかず離れずの距離にいるのだ。
いくつの村や町を歩いたかわからない。
どこにいっても、竜の話など知ってる者はいなかった。
当たり前だ。
竜などこの世にいるはずがないのだから…
ところが、竜を探し始めて何年か経った頃、ある村で奇妙な婆さんに出会ったのだ。
婆さんは竜が好む「竜の眠り草」の生えてる場所を知っていると言った。
それは猫のまたたびのようなもので、竜に与えると身体が痺れたようになり、竜は言いようのない快感に酔いしれ眠ってしまうという。
そしてその場所の近くには竜が住んでいることが多いというのだ。
いかにも胡散臭い話だ。
婆さんはその場所を記した地図を持っていると言った。
さらに、竜を斬るには特別の剣が必要だと言うのだ。
「なんなら、その剣も譲ってやっても良いんじゃが…」
婆さんは狡猾な笑みを浮かべた。
俺は、婆さんにそれらの売値を聞いてみた。
その高額さに、俺はひっくり返りそうになった。
だが、竜を斬る剣も竜の眠り草の場所を描いた地図も大変貴重なものでそれ相当の価値があると婆さんは言い張った。
俺は黒いローブの男にそのことを相談した。
「ならば、剣と地図を受けとってから、婆さんを始末すれば良いではないか。」
「えっ!俺に人殺しをしろっていうのか?」
「それが一番手っ取り早いではないか。」
俺は今まであくどい商売をやったことは何度もある。
ちょっとした喧嘩で相手を傷付けたこともあったが、さすがに人殺しはやったことがない。
いや、今後もそんなことはする気はない。
その晩、俺は婆さんの家を訪ねた。
婆さんが見せてくれた竜を斬る剣は見事な長剣だった。
これはきっと本物に間違いない…そんな気がした。
俺は婆さんに値段の交渉を試みた。
だが、婆さんはびた一文まける気はないと言い放った。
「その値段が気にいらないならとっとと帰っとくれ!
欲しいって奴は他にもいっぱいいるんだ!」
やるさ、だがいつまでかかるからわからんぞ。
なんせ探しものは『竜の心臓』なんだからな。」
「それはかまわん。
とにかく、ちゃんと探せば良いのだ。」
……かくして俺は竜の心臓を探すことになった。
黒いローブの男はどこに行っても必ずついてきていた。
まるで私の影のように、つかず離れずの距離にいるのだ。
いくつの村や町を歩いたかわからない。
どこにいっても、竜の話など知ってる者はいなかった。
当たり前だ。
竜などこの世にいるはずがないのだから…
ところが、竜を探し始めて何年か経った頃、ある村で奇妙な婆さんに出会ったのだ。
婆さんは竜が好む「竜の眠り草」の生えてる場所を知っていると言った。
それは猫のまたたびのようなもので、竜に与えると身体が痺れたようになり、竜は言いようのない快感に酔いしれ眠ってしまうという。
そしてその場所の近くには竜が住んでいることが多いというのだ。
いかにも胡散臭い話だ。
婆さんはその場所を記した地図を持っていると言った。
さらに、竜を斬るには特別の剣が必要だと言うのだ。
「なんなら、その剣も譲ってやっても良いんじゃが…」
婆さんは狡猾な笑みを浮かべた。
俺は、婆さんにそれらの売値を聞いてみた。
その高額さに、俺はひっくり返りそうになった。
だが、竜を斬る剣も竜の眠り草の場所を描いた地図も大変貴重なものでそれ相当の価値があると婆さんは言い張った。
俺は黒いローブの男にそのことを相談した。
「ならば、剣と地図を受けとってから、婆さんを始末すれば良いではないか。」
「えっ!俺に人殺しをしろっていうのか?」
「それが一番手っ取り早いではないか。」
俺は今まであくどい商売をやったことは何度もある。
ちょっとした喧嘩で相手を傷付けたこともあったが、さすがに人殺しはやったことがない。
いや、今後もそんなことはする気はない。
その晩、俺は婆さんの家を訪ねた。
婆さんが見せてくれた竜を斬る剣は見事な長剣だった。
これはきっと本物に間違いない…そんな気がした。
俺は婆さんに値段の交渉を試みた。
だが、婆さんはびた一文まける気はないと言い放った。
「その値段が気にいらないならとっとと帰っとくれ!
欲しいって奴は他にもいっぱいいるんだ!」
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