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012 : 竜殺し
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(イシドールが町の者からあんな仕打ちを受けているのは、こんなくだらない伝説のためだったのか…!)
私は絶望的な気持ちと町の者達に対する憤りを感じていた。
可哀想なイシドール…
運ばれてきた魚料理には手をつけることなく、私は帰路に着いた。
「おかえりなさい…」
あたりが暗くなり始めた頃、私はイシドールの小屋に着いた。
なんとなく二人の様子がおかしい…
「遅くなってすまなかったな。
イシドール、腹が減っただろう?
すぐに準備するからな。」
私の言葉にイシドールは黙って頷いただけだった。
準備とはいっても買ってきたものを並べるだけだ。
しかし、イシドールは缶詰も初めてだということで、とても興奮した様子で食べていた。
次の日、私はまた町まで買い物に出掛けた。
今度は鍋や食器、そしてちょっとした調味料を買いに行ったのだ。
その晩は、干し肉を炒めて食べさせたのだが、イシドールはこんなにうまいものは初めてだとたいそう喜んでいた。
若いということもあるのか、熱も下がりイシドールはすぐに元気を取り戻した。
次の日、私は彼を川に連れていき水浴びをさせた。
彼の背中に刻まれた痣に、私は一瞬息を飲んだ。
「……この痣のこと…クロワさんに聞いてなかったのか?」
「……いや、なにも…」
「そうか……実は……」
イシドールは、自分の事情を語ってくれた。
「クロワさんから聞いてると思ってたぜ。」
「彼女はあまりそういうことを言う人間ではないからな。」
「クロワさんも、俺と似たような境遇だったって言ってたけど、どういうことなんだ?」
「私も詳しいことは何も知らないんだ。
だが、君と似たような境遇だったことは間違いない。」
私の脳裏には、クロワの住む村でのことが呼び起されていた。
「あんたも知らないのか?
あんたら…恋人同士じゃないのか?」
「いや、私と彼女はそういう仲ではない。
ただ、縁があって一緒に旅をしてるだけだ。」
「いい年の男と女が一緒に旅をしていて、よく間違いが起こらないもんだな。」
「彼女は私の命の恩人でもあるからな。
そういう対象としては、なかなか見られないんだ。」
「命の恩人?」
「あぁ…実は私は瀕死の所を彼女に助けられたんだ…
おかげでこんなに元気になれた。
ただ…記憶は戻らないままなんだがな。」
(イシドールが町の者からあんな仕打ちを受けているのは、こんなくだらない伝説のためだったのか…!)
私は絶望的な気持ちと町の者達に対する憤りを感じていた。
可哀想なイシドール…
運ばれてきた魚料理には手をつけることなく、私は帰路に着いた。
「おかえりなさい…」
あたりが暗くなり始めた頃、私はイシドールの小屋に着いた。
なんとなく二人の様子がおかしい…
「遅くなってすまなかったな。
イシドール、腹が減っただろう?
すぐに準備するからな。」
私の言葉にイシドールは黙って頷いただけだった。
準備とはいっても買ってきたものを並べるだけだ。
しかし、イシドールは缶詰も初めてだということで、とても興奮した様子で食べていた。
次の日、私はまた町まで買い物に出掛けた。
今度は鍋や食器、そしてちょっとした調味料を買いに行ったのだ。
その晩は、干し肉を炒めて食べさせたのだが、イシドールはこんなにうまいものは初めてだとたいそう喜んでいた。
若いということもあるのか、熱も下がりイシドールはすぐに元気を取り戻した。
次の日、私は彼を川に連れていき水浴びをさせた。
彼の背中に刻まれた痣に、私は一瞬息を飲んだ。
「……この痣のこと…クロワさんに聞いてなかったのか?」
「……いや、なにも…」
「そうか……実は……」
イシドールは、自分の事情を語ってくれた。
「クロワさんから聞いてると思ってたぜ。」
「彼女はあまりそういうことを言う人間ではないからな。」
「クロワさんも、俺と似たような境遇だったって言ってたけど、どういうことなんだ?」
「私も詳しいことは何も知らないんだ。
だが、君と似たような境遇だったことは間違いない。」
私の脳裏には、クロワの住む村でのことが呼び起されていた。
「あんたも知らないのか?
あんたら…恋人同士じゃないのか?」
「いや、私と彼女はそういう仲ではない。
ただ、縁があって一緒に旅をしてるだけだ。」
「いい年の男と女が一緒に旅をしていて、よく間違いが起こらないもんだな。」
「彼女は私の命の恩人でもあるからな。
そういう対象としては、なかなか見られないんだ。」
「命の恩人?」
「あぁ…実は私は瀕死の所を彼女に助けられたんだ…
おかげでこんなに元気になれた。
ただ…記憶は戻らないままなんだがな。」
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