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010 : 小人の歌曲
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そんなことをしてもまた恥をかくだけだと思ったが、それで傷付いたら音楽の道を諦めてくれるかもしれない…まともな仕事に就いてくれるかもしれない…ジゼルはそう思い、あえて反対はしなかったのだそうだ。
ところが、ジゼルがそこで聴いたものは、今までのクロードの演奏とはまるで違う素晴らしい演奏だったという。
町の人々は立ち上がって熱い拍手を送り、口々に称賛の言葉を投げ掛けた。
クロードにそれほどの才能があったことに、ジゼルはとても驚いたということだった。
それからは演奏で身を立てることが出来るようになり演奏家として安定した生活が送れるようになってきたが、それとは逆にクロードの様子が日に日におかしくなってきたという。
クロードは、落ち着きがなくなり、部屋に閉じこもるようになった。
町へ演奏にも行かなくなっていつもイライラしているような感じだったという。
やがて、食事もろくにとらなくなり、顔色は悪く痩せこけてきたらしい。
見かねたジゼルが理由を問いただすと、クロードはやっとその理由を話した。
小人に竪琴を習う代わりに、クロードは歌曲を書くことを条件にされた。
クロードは演奏こそそんなにうまくはなかったが、良い曲を創ることは得意だった。
だから、簡単に引き受けてしまったのだが、あと少しと言う所でうまくいかない。
どうしても良いメロディが浮かばないと嘆いていたらしい。
ジゼルが、それなら出来なかったと言えば良いじゃないかというと、そんなことは出来ないとクロードは声をあげて泣き出したというのだ。
クロードの様子に驚いたジゼルがなぜだめなのかを聞いてみると、クロードはまたおかしなことを言い出したという。
クロードは小人達とある約束をしたというのだ。
竪琴を教えてもらう代わりにクロードは歌曲を書き、そして万一それが出来上がらなかった時には、クロードの息子・エリックを小人達に引き渡すことを…
そして、その引き渡しの期日はエリックが5歳になって最初の満月の夜だと…
「エリックは…今、おいくつなのですか?」
「……少し前に5歳になりました…」
「…えっ!!
では…満月の夜は?」
「あと三日後です…」
「……あと三日…」
ところが、ジゼルがそこで聴いたものは、今までのクロードの演奏とはまるで違う素晴らしい演奏だったという。
町の人々は立ち上がって熱い拍手を送り、口々に称賛の言葉を投げ掛けた。
クロードにそれほどの才能があったことに、ジゼルはとても驚いたということだった。
それからは演奏で身を立てることが出来るようになり演奏家として安定した生活が送れるようになってきたが、それとは逆にクロードの様子が日に日におかしくなってきたという。
クロードは、落ち着きがなくなり、部屋に閉じこもるようになった。
町へ演奏にも行かなくなっていつもイライラしているような感じだったという。
やがて、食事もろくにとらなくなり、顔色は悪く痩せこけてきたらしい。
見かねたジゼルが理由を問いただすと、クロードはやっとその理由を話した。
小人に竪琴を習う代わりに、クロードは歌曲を書くことを条件にされた。
クロードは演奏こそそんなにうまくはなかったが、良い曲を創ることは得意だった。
だから、簡単に引き受けてしまったのだが、あと少しと言う所でうまくいかない。
どうしても良いメロディが浮かばないと嘆いていたらしい。
ジゼルが、それなら出来なかったと言えば良いじゃないかというと、そんなことは出来ないとクロードは声をあげて泣き出したというのだ。
クロードの様子に驚いたジゼルがなぜだめなのかを聞いてみると、クロードはまたおかしなことを言い出したという。
クロードは小人達とある約束をしたというのだ。
竪琴を教えてもらう代わりにクロードは歌曲を書き、そして万一それが出来上がらなかった時には、クロードの息子・エリックを小人達に引き渡すことを…
そして、その引き渡しの期日はエリックが5歳になって最初の満月の夜だと…
「エリックは…今、おいくつなのですか?」
「……少し前に5歳になりました…」
「…えっ!!
では…満月の夜は?」
「あと三日後です…」
「……あと三日…」
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