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007 : バラの村
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「マルタンさんに…?」
その意味を悟り、クロワの顔は赤く染まった。
「良かったらあなたも試してみられたらいかがかしら?
マルタンさんはそりゃあ…」
「やめて下さいっっ!!
私とマルタンさんは…そんな関係ではありません!
私達はただの旅の仲間で…」
「それがどうだというのです?
ただの旅の仲間ではそんなことをしてはいけないとでもいうのですか?」
「当たり前ではないですか!
そんなことは、お互い愛し合っている者同士が…」
「まぁ…」
ソレイユは見下したような眼をクロワに向けながら高笑いを始めた。
「何がそんなにおかしいのです?」
「あら…ごめんなさいね。
あなたがあまりに幼いことをおっしゃるから…
男と女がすることはただの愉しみ…
誰も愛なんて求めてはいないのですよ。
私もマルタンさんに特別な感情なんて少しも抱いてはいませんわ。」
「そんな……!!
…でも、マルタンさんはソレイユ様のことをきっと愛して…」
ソレイユはまたも大きな声で笑った。
「それはすべてあの薬のまやかしですわ。
私はマルタンさんにあの薬を与え、ずっと枕元で囁き続けていたのです。
『ソレイユを愛してる…』『ソレイユに服従するように…』と…
マルタンさんはその暗示にかかっていただけ…
彼の心の中に私への愛など欠片程もないのです。
彼はただ、そう思い込んでいただけなのですから。」
「ソレイユ様…なんて、ひどいことを……」
「……私はずっとこうして生きていたのです。
一人旅の男をみつけては、軽い毒を飲ませ、身体が弱った所で今度はあの滋養薬を飲ませては暗示にかける…
簡単な事でしたわ。
…あの薬草は『魔女の媚薬』と呼ばれてるそうですが、私は本当は女王ではなく魔女なのですよ…」
ソレイユはそう言って、またもおかしそうに笑う。
(……魔女……)
「ご自分のことを魔女だなんて言うのはやめて下さい、ソレイユ様!
あなたは、みんなから尊敬され愛されている夏至祭の女王ではありませんか。」
「私が愛されている?
馬鹿なことをおっしゃらないで下さいな。
私のことを愛している者なんて、この世にただの一人もいませんわ…」
その意味を悟り、クロワの顔は赤く染まった。
「良かったらあなたも試してみられたらいかがかしら?
マルタンさんはそりゃあ…」
「やめて下さいっっ!!
私とマルタンさんは…そんな関係ではありません!
私達はただの旅の仲間で…」
「それがどうだというのです?
ただの旅の仲間ではそんなことをしてはいけないとでもいうのですか?」
「当たり前ではないですか!
そんなことは、お互い愛し合っている者同士が…」
「まぁ…」
ソレイユは見下したような眼をクロワに向けながら高笑いを始めた。
「何がそんなにおかしいのです?」
「あら…ごめんなさいね。
あなたがあまりに幼いことをおっしゃるから…
男と女がすることはただの愉しみ…
誰も愛なんて求めてはいないのですよ。
私もマルタンさんに特別な感情なんて少しも抱いてはいませんわ。」
「そんな……!!
…でも、マルタンさんはソレイユ様のことをきっと愛して…」
ソレイユはまたも大きな声で笑った。
「それはすべてあの薬のまやかしですわ。
私はマルタンさんにあの薬を与え、ずっと枕元で囁き続けていたのです。
『ソレイユを愛してる…』『ソレイユに服従するように…』と…
マルタンさんはその暗示にかかっていただけ…
彼の心の中に私への愛など欠片程もないのです。
彼はただ、そう思い込んでいただけなのですから。」
「ソレイユ様…なんて、ひどいことを……」
「……私はずっとこうして生きていたのです。
一人旅の男をみつけては、軽い毒を飲ませ、身体が弱った所で今度はあの滋養薬を飲ませては暗示にかける…
簡単な事でしたわ。
…あの薬草は『魔女の媚薬』と呼ばれてるそうですが、私は本当は女王ではなく魔女なのですよ…」
ソレイユはそう言って、またもおかしそうに笑う。
(……魔女……)
「ご自分のことを魔女だなんて言うのはやめて下さい、ソレイユ様!
あなたは、みんなから尊敬され愛されている夏至祭の女王ではありませんか。」
「私が愛されている?
馬鹿なことをおっしゃらないで下さいな。
私のことを愛している者なんて、この世にただの一人もいませんわ…」
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