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007 : バラの村
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「アマンダさん、マルタンさんのことをどうぞよろしくお願いします。
用が済んだらすぐに戻りますので…」
クロワは、ソレイユのことがやはり気に掛かり、マルタンが意識を回復して数日してから隣町へと出発した。
アマンダにはシスターに会ってくると嘘を吐いて…
ソレイユの館に着くとすぐに、クロワはその異変に気が付いた。
庭にはいつの間にか雑草が生い茂っていたのだ。
オーバンやマルタンがいなくなって、家事や雑用をすることが出来ないのだろう。
女王が体調を壊していなければ良いが…
クロワは勝手に敷地内に入り、ドアを叩いた。
しばらくすると、ソレイユが出てきた。
久しぶりに見たその姿は痩せてやつれ、髪の毛も艶を失っていた。
「ソレイユ様…!
大丈夫ですか?」
「大丈夫?何がです?
私はこんなに元気ですわ。」
そう言ってソレイユは両腕を広げ、にっこりと微笑んだ。
「…お食事はちゃんと採られているのですか?」
「私は夏至祭の女王です。
そんなものは採らなくても大丈夫です。」
「…まさか、あの薬草を…!!
ソレイユ様!
薔薇園の隣にあるあの薬草は、実は大変危険なもので…」
「危険?何をおっしゃるのかと思ったら…
あれは滋養薬です。
あれを煎じて飲んでいると、何日眠らなくとも食べなくとも元気で過ごせるのですよ。」
「ソレイユ様、あの薬草は…」
「……こんな所で立ち話も何ですわ…
どうぞ、こちらへ…」
ソレイユはクロワを自分の部屋に通した。
「散らかってますが、我慢して下さいね。
使用人が戻らないもので…」
「…オーバンさんとマルタンさんのことですね…」
「……やはり、そうでしたか…
きっと、そうだと思ってましたわ……」
ソレイユは、黒い瓶から香りのきつい飲み物をカップに注いだ。
「ソレイユ様!それを飲んではいけません!!」
「ほっといて下さい。これは私の滋養薬なんです。」
「ソレイユ様!
その薬草は…精神や身体を壊してしまうとても危険なものなのです!」
「…まだそんなことを…?
この薬は滋養薬…身体に活力を与えてくれるものですわ。
…それだけじゃありませんのよ…
これを飲んで愛し合うと、とても素晴らしい快感を感じられるのですよ。
……マルタンさんからお聞きにならなかったのかしら?」
「アマンダさん、マルタンさんのことをどうぞよろしくお願いします。
用が済んだらすぐに戻りますので…」
クロワは、ソレイユのことがやはり気に掛かり、マルタンが意識を回復して数日してから隣町へと出発した。
アマンダにはシスターに会ってくると嘘を吐いて…
ソレイユの館に着くとすぐに、クロワはその異変に気が付いた。
庭にはいつの間にか雑草が生い茂っていたのだ。
オーバンやマルタンがいなくなって、家事や雑用をすることが出来ないのだろう。
女王が体調を壊していなければ良いが…
クロワは勝手に敷地内に入り、ドアを叩いた。
しばらくすると、ソレイユが出てきた。
久しぶりに見たその姿は痩せてやつれ、髪の毛も艶を失っていた。
「ソレイユ様…!
大丈夫ですか?」
「大丈夫?何がです?
私はこんなに元気ですわ。」
そう言ってソレイユは両腕を広げ、にっこりと微笑んだ。
「…お食事はちゃんと採られているのですか?」
「私は夏至祭の女王です。
そんなものは採らなくても大丈夫です。」
「…まさか、あの薬草を…!!
ソレイユ様!
薔薇園の隣にあるあの薬草は、実は大変危険なもので…」
「危険?何をおっしゃるのかと思ったら…
あれは滋養薬です。
あれを煎じて飲んでいると、何日眠らなくとも食べなくとも元気で過ごせるのですよ。」
「ソレイユ様、あの薬草は…」
「……こんな所で立ち話も何ですわ…
どうぞ、こちらへ…」
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「散らかってますが、我慢して下さいね。
使用人が戻らないもので…」
「…オーバンさんとマルタンさんのことですね…」
「……やはり、そうでしたか…
きっと、そうだと思ってましたわ……」
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「ソレイユ様!それを飲んではいけません!!」
「ほっといて下さい。これは私の滋養薬なんです。」
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「…まだそんなことを…?
この薬は滋養薬…身体に活力を与えてくれるものですわ。
…それだけじゃありませんのよ…
これを飲んで愛し合うと、とても素晴らしい快感を感じられるのですよ。
……マルタンさんからお聞きにならなかったのかしら?」
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