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007 : バラの村
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マルタンの容態は相変わらずだった。
狂ったように暴れるとその後は死んだように眠る…
ほんのわずかの水を口にするだけだから、身体はどんどん衰弱しているように思えるのだが、発作の時だけはどこにそんな体力が残っていたのかと思うような暴れようだった。
「どうしよう…
このままじゃ、本当にマルタンは死んじまうよ…」
「祈ろう…
クロワが早く来てくれるように…」
「そんな…」
「今のあたし達にゃこんなこと位しか出来ないんだからさ。」
その時、不意に店のドアが開いた。
「クロワ!!」
「アマンダさん、おひさしぶりです。
カーラさん、ミシェルさん、先日はどうも…」
「そんな呑気なこと言ってる場合じゃないよ!
早くこっちへ!!」
クロワが連れて行かれたのは店の奥のあの部屋だった。
そこには、手足をベッドにくくりつけられたマルタンがいた。
頬はこけ、目はくぼみ、顔は髭で覆われ、死人のような顔をしたマルタンがいた。
「マ…マルタンさん…!…こ、これは一体…」
アマンダはマルタンの症状をクロワに伝えた。
(…オーバンさんと同じだわ!!)
クロワは持っていた解熱薬をマルタンに飲ませた。
(可哀想なマルタンさん…なぜこんなことに…?!)
マルタンの顔の汗をぬぐいながら、クロワの瞳から一筋の涙がこぼれ落ちた…
やがて、数日の時が流れた。
クロワの解熱薬と滋養の付く薬のお陰で、マルタンの容態はほんのわずかずつではあったが改善されていった。
だが、いまだ、あの発作は続いている。
もうしばらくは続くことだろう。
幸い、ここにはレオという頼もしい助っ人がいるため、オーバンの時のようにクロワが痣を作るようなことはなかった。
「思い出した!!」
ミシェルが突然大きな声をあげた。
「なんだよ、ミシェル!
びっくりするじゃないか!」
「カーラ!!
クロワが世話してた病人…あれは、マルタンと一緒にいた男だ!
ほら…あのバラの村で……」
「えっ?!
…そういえば…そうだ!
あの顔から髭を取って…もう少しふっくらさせたら…
うん!そうだよ!
あの男だよ!
あんた、よく気付いたね!!」
カーラは、ミシェルの背中を威勢よく叩いた。
マルタンの容態は相変わらずだった。
狂ったように暴れるとその後は死んだように眠る…
ほんのわずかの水を口にするだけだから、身体はどんどん衰弱しているように思えるのだが、発作の時だけはどこにそんな体力が残っていたのかと思うような暴れようだった。
「どうしよう…
このままじゃ、本当にマルタンは死んじまうよ…」
「祈ろう…
クロワが早く来てくれるように…」
「そんな…」
「今のあたし達にゃこんなこと位しか出来ないんだからさ。」
その時、不意に店のドアが開いた。
「クロワ!!」
「アマンダさん、おひさしぶりです。
カーラさん、ミシェルさん、先日はどうも…」
「そんな呑気なこと言ってる場合じゃないよ!
早くこっちへ!!」
クロワが連れて行かれたのは店の奥のあの部屋だった。
そこには、手足をベッドにくくりつけられたマルタンがいた。
頬はこけ、目はくぼみ、顔は髭で覆われ、死人のような顔をしたマルタンがいた。
「マ…マルタンさん…!…こ、これは一体…」
アマンダはマルタンの症状をクロワに伝えた。
(…オーバンさんと同じだわ!!)
クロワは持っていた解熱薬をマルタンに飲ませた。
(可哀想なマルタンさん…なぜこんなことに…?!)
マルタンの顔の汗をぬぐいながら、クロワの瞳から一筋の涙がこぼれ落ちた…
やがて、数日の時が流れた。
クロワの解熱薬と滋養の付く薬のお陰で、マルタンの容態はほんのわずかずつではあったが改善されていった。
だが、いまだ、あの発作は続いている。
もうしばらくは続くことだろう。
幸い、ここにはレオという頼もしい助っ人がいるため、オーバンの時のようにクロワが痣を作るようなことはなかった。
「思い出した!!」
ミシェルが突然大きな声をあげた。
「なんだよ、ミシェル!
びっくりするじゃないか!」
「カーラ!!
クロワが世話してた病人…あれは、マルタンと一緒にいた男だ!
ほら…あのバラの村で……」
「えっ?!
…そういえば…そうだ!
あの顔から髭を取って…もう少しふっくらさせたら…
うん!そうだよ!
あの男だよ!
あんた、よく気付いたね!!」
カーラは、ミシェルの背中を威勢よく叩いた。
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