105 / 641
007 : バラの村
45
しおりを挟む
*
「あああああぁぁぁ~~~!!」
店の奥から、ただならぬ絶叫が響き渡る。
カーラとミシェルが店の中に入ると、アマンダが二人を店の外へ連れ出した。
「…アマンダ、何なんだい?
あの声は…」
「あんた達、遅かったじゃないか!
クロワは?
クロワに連絡はつかなかったのかい?」
「いや、連絡はついたんだけど、あと数日は来れないらしいんだよ。
今、クロワは病人の世話をしてるんだ。
それより、アマンダ…あの声は一体何なんだよ?」
「マルタンさ…マルタンは病気なんだ。
時々、あんな風に大きな声を出して暴れるんだ。
今、レオが押さえててくれてるけど…あの分じゃ助かるかどうか…
クロワはなんですぐに来れないんだい?
だいたい、なんでこんなに時間がかかったのさ?」
カーラとミシェルは今までのいきさつをアマンダに話して聞かせた。
「そうだったのかい…そりゃあ大変だったね。」
三人が話してる間にも、マルタンの狂気染みた絶叫はずっと続いていた。
「それにしても酷い声だね。
マルタンはどこかが痛むからあんなに叫んでるのかい?」
「さぁね…私にはさっぱりわからないよ。」
……どうやら、マルタンの発作がおさまってきたようだね。
中へ入ろうか…」
中へ入ると、レオがちょうど店に戻って来た所だった。
レオは髪を乱し、汗にまみれていた。
「レオ、いつもすまないね。
疲れただろ…一杯やんなよ。」
「ありがとよ…
カーラ、戻ったんだな。遅かったな。
クロワは一緒じゃないのかい?」
「クロワは病人の世話をしてるから、今は手が離せないらしいんだ。
数日したら来るって言ってたけど…」
「そうか…
クロワが来るまで、ヤツがもってくれたら良いけどな…」
「そんなに悪いのかい!?」
「あぁ…
ものすごい熱を出して日に何度も暴れる上に、何一つ食べやしねぇ…
あの分じゃ身体がもたねぇな。」
レオは、そう言って差し出された酒をぐいっと飲み干した。
「医者にはみせたのかい?」
「あぁ…だが、こんな症状は見たことがないとかなんだかわからないとかぬかして、さっさと帰っちまいやがった。」
「あの藪医者め…!」
「この町には、医者はあいつしかいないからね。
…本当にどうすりゃ良いんだろうね。」
「あたし、またクロワに会ってくるよ。」
「…いや、今出たら行き違いになるだけだろう。
あんたも疲れてるんだしさ。
クロワが来るまで、あたし達でなんとか出来るだけのことをしようじゃないか。」
「あああああぁぁぁ~~~!!」
店の奥から、ただならぬ絶叫が響き渡る。
カーラとミシェルが店の中に入ると、アマンダが二人を店の外へ連れ出した。
「…アマンダ、何なんだい?
あの声は…」
「あんた達、遅かったじゃないか!
クロワは?
クロワに連絡はつかなかったのかい?」
「いや、連絡はついたんだけど、あと数日は来れないらしいんだよ。
今、クロワは病人の世話をしてるんだ。
それより、アマンダ…あの声は一体何なんだよ?」
「マルタンさ…マルタンは病気なんだ。
時々、あんな風に大きな声を出して暴れるんだ。
今、レオが押さえててくれてるけど…あの分じゃ助かるかどうか…
クロワはなんですぐに来れないんだい?
だいたい、なんでこんなに時間がかかったのさ?」
カーラとミシェルは今までのいきさつをアマンダに話して聞かせた。
「そうだったのかい…そりゃあ大変だったね。」
三人が話してる間にも、マルタンの狂気染みた絶叫はずっと続いていた。
「それにしても酷い声だね。
マルタンはどこかが痛むからあんなに叫んでるのかい?」
「さぁね…私にはさっぱりわからないよ。」
……どうやら、マルタンの発作がおさまってきたようだね。
中へ入ろうか…」
中へ入ると、レオがちょうど店に戻って来た所だった。
レオは髪を乱し、汗にまみれていた。
「レオ、いつもすまないね。
疲れただろ…一杯やんなよ。」
「ありがとよ…
カーラ、戻ったんだな。遅かったな。
クロワは一緒じゃないのかい?」
「クロワは病人の世話をしてるから、今は手が離せないらしいんだ。
数日したら来るって言ってたけど…」
「そうか…
クロワが来るまで、ヤツがもってくれたら良いけどな…」
「そんなに悪いのかい!?」
「あぁ…
ものすごい熱を出して日に何度も暴れる上に、何一つ食べやしねぇ…
あの分じゃ身体がもたねぇな。」
レオは、そう言って差し出された酒をぐいっと飲み干した。
「医者にはみせたのかい?」
「あぁ…だが、こんな症状は見たことがないとかなんだかわからないとかぬかして、さっさと帰っちまいやがった。」
「あの藪医者め…!」
「この町には、医者はあいつしかいないからね。
…本当にどうすりゃ良いんだろうね。」
「あたし、またクロワに会ってくるよ。」
「…いや、今出たら行き違いになるだけだろう。
あんたも疲れてるんだしさ。
クロワが来るまで、あたし達でなんとか出来るだけのことをしようじゃないか。」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
みそっかすちびっ子転生王女は死にたくない!
沢野 りお
ファンタジー
【書籍化します!】2022年12月下旬にレジーナブックス様から刊行されることになりました!
定番の転生しました、前世アラサー女子です。
前世の記憶が戻ったのは、7歳のとき。
・・・なんか、病的に痩せていて体力ナシでみすぼらしいんだけど・・・、え?王女なの?これで?
どうやら亡くなった母の身分が低かったため、血の繋がった家族からは存在を無視された、みそっかすの王女が私。
しかも、使用人から虐げられていじめられている?お世話も満足にされずに、衰弱死寸前?
ええーっ!
まだ7歳の体では自立するのも無理だし、ぐぬぬぬ。
しっかーし、奴隷の亜人と手を組んで、こんなクソ王宮や国なんか出て行ってやる!
家出ならぬ、王宮出を企てる間に、なにやら王位継承を巡ってキナ臭い感じが・・・。
えっ?私には関係ないんだから巻き込まないでよ!ちょっと、王族暗殺?継承争い勃発?亜人奴隷解放運動?
そんなの知らなーい!
みそっかすちびっ子転生王女の私が、城出・出国して、安全な地でチート能力を駆使して、ワハハハハな生活を手に入れる、そんな立身出世のお話でぇーす!
え?違う?
とりあえず、家族になった亜人たちと、あっちのトラブル、こっちの騒動に巻き込まれながら、旅をしていきます。
R15は保険です。
更新は不定期です。
「みそっかすちびっ子王女の転生冒険ものがたり」を改訂、再up。
2021/8/21 改めて投稿し直しました。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
一輪の廃墟好き 第一部
流川おるたな
ミステリー
僕の名前は荒木咲一輪(あらきざきいちりん)。
単に好きなのか因縁か、僕には廃墟探索という変わった趣味がある。
年齢25歳と社会的には完全な若造であるけれど、希少な探偵家業を生業としている歴とした個人事業者だ。
こんな風変わりな僕が廃墟を探索したり事件を追ったりするわけだが、何を隠そう犯人の特定率は今のところ百発百中100%なのである。
年齢からして担当した事件の数こそ少ないものの、特定率100%という素晴らしい実績を残せた秘密は僕の持つ特別な能力にあった...
転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す
エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】
転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた!
元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。
相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ!
ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。
お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。
金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。
【アルファポリスで稼ぐ】新社会人が1年間で会社を辞めるために収益UPを目指してみた。
紫蘭
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスでの収益報告、どうやったら収益を上げられるのかの試行錯誤を日々アップします。
アルファポリスのインセンティブの仕組み。
ど素人がどの程度のポイントを貰えるのか。
どの新人賞に応募すればいいのか、各新人賞の詳細と傾向。
実際に新人賞に応募していくまでの過程。
春から新社会人。それなりに希望を持って入社式に向かったはずなのに、そうそうに向いてないことを自覚しました。学生時代から書くことが好きだったこともあり、いつでも仕事を辞められるように、まずはインセンティブのあるアルファポリスで小説とエッセイの投稿を始めて見ました。(そんなに甘いわけが無い)
傷者部
ジャンマル
青春
高校二年生に上がった隈潟照史(くまがた あきと)は中学の時の幼なじみとのいざこざを未だに後悔として抱えていた。その時の後悔からあまり人と関わらなくなった照史だったが、二年に進学して最初の出席の時、三年生の緒方由紀(おがた ゆき)に傷者部という部活に入ることとなるーー
後悔を抱えた少年少女が一歩だけ未来にあゆみ出すための物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる