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ルカ(聖夜月ルカ)

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007 : バラの村

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……そして何日かが過ぎた。
 相変わらず、私が部屋から出してもらえるのはトイレに行く時だけ。
通路も狭いため、逃亡のチャンスはないように思える。
何か、別の方法を考えなければ…

私は、食事も拒否し続けていたが、このままでは逃亡の時に体力がなくなってしまう…

ここは、ちゃんと食事を採った方が良いかもしれない。

そうだ…!
少し位なら会話をして従順なふりをして相手の気を緩ませるというのも良いかもしれない。

そんな計画を立て始めた時、私は身体の変調に気が付いた。

まさか…!
また、あの病気の悪い菌がよみがえろうとしているのか?

私の不安は的中していたようで体調はどんどんと悪くなっていった。

アマンダと呼ばれる女が、私の世話をしてくれた。



「困ったねぇ…
どうすりゃ良いんだろうねぇ…」

「…私の…私の持っていた水筒は…?
…あの中に薬が……」

「あれは妙な臭いがするから、腐ってるんだと思って捨てちまったよ。
あれは薬だったのかい。」

 最後の望みが絶たれてしまった。
 女王の所に帰らなければ、私はこのまま死んでしまうかもしれない…
だが、女王と私の関係を言うことは出来ない!
どんなことがあっても、それだけは…!

そうだ…クロワが来てくれれば…
クロワなら、私を助けてくれるかもしれない…!


……しかし、クロワは一向に来る気配はなかった……
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