お題小説

ルカ(聖夜月ルカ)

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007 : バラの村

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(……ここはどこだ…?
……私は……
……そうだ!
薔薇の木を取りに来た所をいきなり襲われて……)



そこは小さな部屋の中で、私は猿ぐつわを噛まされ、ベッドに縛り付けられていた。

奴らは何者なのだろう?
物盗りか?

いや、物盗りならば私をこんな風に拉致する必要がない…

…まさか…!!
私が女王の所にいることを知った何者かが、私のことを妬んで…
いや、それよりも何か私が考えもつかないような恐ろしいことを企てているのかもしれない。
私のことで何か女王に迷惑がかかるようなことがあってはいけない。
絶対に知られてはいけない!
私が彼女の所にいることを…
私が彼女と相思相愛の仲だということを…!

私は奴らに何を聞かれてもしゃべらない決意をした…



「おや、起きたみたいだね。
今、朝飯を持って来るから待ってなよ。」

中年の女が部屋をのぞいた。

朝飯…?
何をするつもりなんだ?
毒でも飲ませるつもりなのか?

今度はさっきの女が屈強な男を伴なって入って来た。
二人はベッドの支柱から紐をほどくと、男はまた私の手足をを縛った上、後ろから腕を押さえ、それからやっと私は猿ぐつわをはずされた。



「苦しかっただろ。すまなかったね。
でも、クロワが来るまでに逃げられちゃ困るから、もう少し辛抱しておくれよ。
さ、そんなことより朝飯だ。
たべさせてやるから口を開けな。」

クロワだと…?
私を置いて男と出ていったクロワが今更私に何の用があるっていうんだ?
それとも、私とクロワのことを知ってる誰かが何らかの罠を仕掛けているのか?

女はパンを持って待っている。
見た目には普通のパンに見えるが、食べるのは危険だ。

私は口をしっかりと閉じたまま黙って横を向いた。



「困った人だねぇ…
毒でも入ってると思ってんのかい?
じゃ、私は少し食べるから見てなよ。」

そういって女はパンをかじり始めた。



「ほら、ごらん。なんともないだろ?
安心して食べなよ。」

そんなことに騙されるものか…
私は、身体を動かさず、女の言葉を無視し続けた。
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