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ルカ(聖夜月ルカ)

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007 : バラの村

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「あぁ…名前は知らないけど、赤毛の男を探してた子なら何度か来たよ。」

「それで、その人、どこに行くって言ってた?」

「そこまで聞いてないよ。
でも、あちこちで話を聞いてたから誰か知ってる人がいるかもしれないよ。」

「そうかい、ありがとう!
聞いてみるよ!」

カーラとミシェルは町の中心部の宿屋を出た。



「こまめに聞いていくしかないね。」

カーラとミシェルは店をみつける度に立ち寄り、クロワのことを聞き回った。



「あぁ、その人なら何日か前にも見掛けたよ。」

「えっ!本当かい?
それで、その人、今どこにいるかわからないかい?」

「さぁ…そこまではわからないねぇ。」

「そうかい。ありがとう。
ところで、この先にもまだ店かなにかあるかい?」

「いや、この先にはもう修道院くらいしかないよ。
それもけっこう遠いよ。」

 疲れていたこともあり、二人は修道院に行くかどうかを迷ったが、ここまで来たらついでだとばかりに、二人は疲れた身体を引きずって、修道院に向かった。



 「ここだね。
じゃあ、私が聞いてくるから、あんたはここで待ってておくれ。」

ミシェルにそう言い残すと、カーラは中に入り、若いシスターにクロワのことを尋ねた。



 「あなたはクロワさんのお友達なんですか?」

 「えっ!クロワを知ってるのかい?」

「ええ、クロワさんなら何度もここへ来られてますから。」

「それで、クロワは今どこに?」

「それが…今、ある事情があってシスター・エリーズとでかけているのです。」

「私達さ、クロワにどうしても伝えたいことがあるんだよ。
クロワはどこにいるんだい?」

「そうですか。ですが、そういうことはまずシスターにおうかがいしてからでないと…」

「なんだよ!
私達がなんかあやしいとでも言うのかい!」

「い、いえ、決してそういうことでは……」

 感情的になって詰め寄るカーラに、若いシスターは困惑した声を出した。



「何の騒ぎです!?」

「シスター・エリーズ!!お帰りなったんですね!
この方がクロワさんに何か御用事があるとおっしゃってるのですが…」

 戻って来たばかりのシスター・エリーズは、おずおずとカーラの傍に歩み寄った。



 「初めまして。
私はこの修道院の責任者であるシスター・エリーズという者です。
どういうご用件でしょうか?」 
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