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ルカ(聖夜月ルカ)

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007 : バラの村

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「シスター、お騒がせしてすみませんでした。」

「そんなこと、全然構いませんよ。
それより、クロワさん、綺麗な顔が台無しよ。
まだ、瞼が腫れてるわよ。」

そう言って笑うシスターにつられて、クロワも少し笑った。
笑うとまた一粒の涙がこぼれた。



「あらあら…
よほど、大変なことがあったのね。」

シスターはクロワの涙を指で拭い、肩を優しく抱き締めた。



「クロワさん、おなか減ってない?」

クロワはゆっくりと頭を振る。



「そう…
じゃあ、ちょっと待っててね。」

しばらくして、シスターは温かいお茶を持って戻ってきた。



「……カモミールですね…」

カップを受け取ったクロワがそう言うと、シスターはこくりとうなずいた。

部屋にはカモミールのりんごに似た甘い香りが漂い、二人のお茶をすする音とカップを置く音が小さく響く。

カップの中のお茶がなくなった頃、シスターがようやく口を開いた。



「クロワさん、今夜はもう休みますか?
それとも、心のお荷物を降ろしてしまう?」

「……シスター…聞いていただけますか?」







クロワは、この町を出てからのことを洗いざらいシスターに話し、シスターは、クロワの話に最後まで真剣に耳を傾けた。



「……そうだったの。
それは、大変だったわね。
……でも、どうしてあなたはカーラさんの言った通りに出来なかったの?
一度は信じて探す気になったんでしょう…?」

「……ええ……
でも、手掛りはまるでみつからないし…」

「そんなことでくじけたの?」

「……違います……
私…思い出してしまったんです…」

「…何を?」

「……私は神に祝福されない娘だということを…
私に関わると、皆、ろくな目に遭わないということを…」

「…どういうことなの?」

「それは……言えません…
もしかしたら、私と一緒に過ごしていたからマルタンさんが死んでしまったのではないかと考えたら、どうしようもなく恐ろしくなってしまって…」

「クロワさん、よくお聞きなさい。
この世に神に祝福されずに生まれてきた人間等はいないのです。
人は皆……」

「…私は違うんです…」
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