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ルカ(聖夜月ルカ)

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007 : バラの村

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「俺は、以前、結婚してたことがあってな。」

「えっ?そうなのか?」

「あぁ、子供も二人いてな。
それなりに幸せだと思ってた。
下の子が産まれてから家がますます手狭になってきたから、もっと町中の広い家に移りたい一心で俺は一日中働いたさ。
しかし、俺が流行り病にかかり死ぬかもしれないとわかった途端、妻は別の男と逃げやがったんだ。
 俺は家を空けることも多かったから、妻に男がいることにも気付いちゃいなかった。
よく働き、子供を可愛がる出来た女だと思い込んでたんだ。
あの子達だって、俺の子供じゃないかもしれん。
一緒に逃げた男の子かもしれないのに、俺は……本当に間抜けな奴さ。」

「そうだったのか…
私と一緒に旅をしていた女も似たようなもんさ。
 私を置いて、行きずりの男と町を出ていったらしい。」

「世の中にはそういう女の方が多いのかもしれんな。
女王とはえらい違いだ…
さっきの話だが、女王はきっと俺が結婚していたことを気にしているんだと思うんだ。
子供を悲しませてはいけないという優しい気持ちから、俺には夜の相手をさせないんだと思う。」

「……そうかもしれんな。」

もちろん、私はそんなことは思ってもいなかった。
女王が愛しているのは私なのだから。
だから、私を選んだに過ぎないのだ。
オーバンはそう思いたくないだけなのだ。
それなら、それでかまわない。
私には関係のないことだ。
女王は私を愛してくれている。
それは間違いのないことだから…



私達はそれからも他愛ない話をして時間を潰し、夜明け近くになって町をすり抜けた。
さすがに人影はまばらだった。
歩いてるうちに夜が白々と明けてきた。
女王の滋養薬のおかげで、かなりの無理が効く。
ここから先の町はどこもぱっとしないいなか町だそうだ。

「まだ歩けるか?
隣の町に着いてから休むとするか?」

「そうだな。そうしよう。」



私達は隣の町に向かって歩き出した。 
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