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006 : 黄昏の館
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「あんた、大丈夫かい?」
カーラはクロワに手を貸し、近くの椅子に座らせた。
「一体、何があったんだい?
…あ、あんた、夕飯はまだなんだろ?
ちょっと待ってなよ、今、あんたの分も用意するから…」
「いえ…私は…」
「私達だけ食べるわけにもいかないじゃないか。
そんなたいしたもんもないけど、食べながら話しておくれよ。」
カーラはそう言って、クロワの前に料理を並べ始めた。
「遠慮しないで食べなよ。
そして、事情を話しておくれ。」
「カーラさん…ありがとうございます。」
クロワはカーラの用意してくれた料理を口に運びながら考えていた。
(そういえば、今朝はジュースしか飲んでなかったんだわ…
お昼も食べなかったし、神経をはりつめていたからお腹もすかなかったのね…)
お腹がいっぱいになると、クロワの気分もすっかり落ち着いていた。
クロワはここへ来た理由をカーラ達に話した。
カーラもミシェルも、クロワの話を真剣に聞き、その当時のことを思いだしてくれたが、ミシェル以外には赤毛の若い男は見なかったということだった。
「だいたい、あの山道を通ってあの町に来た奴なんて聞いたことがないよ。
あんた、よく通って来れたね。」
「私は山には慣れてますから…
でも、それでもかなり苦労しました。」
「そうだろうね。
あんな道を通らなくてももっと近くて楽な道があるんだからね。」
……だとしたら、マルタンは一体どこに…?
ここにいた赤毛の男がマルタンではなかったことは、クロワにとっては安堵出来た事である反面、不安の種ともなっていた。
「こんなことを言うのは悪いんだけど…
考えられる可能性としたら、その人は谷底に落ちた…ってことなんじゃないかな…」
「ミシェル!!なんてこと言うんだい!!」
「しかし、森からあの町を目指したんだとしたら、その可能性は高いんじゃないか?
夜中だったんだろ?」
ミシェルの率直な言葉に、クロワの心は深く傷付き、こらえきれずに泣き出してしまった。
「ミシェルの馬鹿!!」
カーラは優しくクロワの肩を抱き、奥の部屋へ連れて行った。
カーラはクロワに手を貸し、近くの椅子に座らせた。
「一体、何があったんだい?
…あ、あんた、夕飯はまだなんだろ?
ちょっと待ってなよ、今、あんたの分も用意するから…」
「いえ…私は…」
「私達だけ食べるわけにもいかないじゃないか。
そんなたいしたもんもないけど、食べながら話しておくれよ。」
カーラはそう言って、クロワの前に料理を並べ始めた。
「遠慮しないで食べなよ。
そして、事情を話しておくれ。」
「カーラさん…ありがとうございます。」
クロワはカーラの用意してくれた料理を口に運びながら考えていた。
(そういえば、今朝はジュースしか飲んでなかったんだわ…
お昼も食べなかったし、神経をはりつめていたからお腹もすかなかったのね…)
お腹がいっぱいになると、クロワの気分もすっかり落ち着いていた。
クロワはここへ来た理由をカーラ達に話した。
カーラもミシェルも、クロワの話を真剣に聞き、その当時のことを思いだしてくれたが、ミシェル以外には赤毛の若い男は見なかったということだった。
「だいたい、あの山道を通ってあの町に来た奴なんて聞いたことがないよ。
あんた、よく通って来れたね。」
「私は山には慣れてますから…
でも、それでもかなり苦労しました。」
「そうだろうね。
あんな道を通らなくてももっと近くて楽な道があるんだからね。」
……だとしたら、マルタンは一体どこに…?
ここにいた赤毛の男がマルタンではなかったことは、クロワにとっては安堵出来た事である反面、不安の種ともなっていた。
「こんなことを言うのは悪いんだけど…
考えられる可能性としたら、その人は谷底に落ちた…ってことなんじゃないかな…」
「ミシェル!!なんてこと言うんだい!!」
「しかし、森からあの町を目指したんだとしたら、その可能性は高いんじゃないか?
夜中だったんだろ?」
ミシェルの率直な言葉に、クロワの心は深く傷付き、こらえきれずに泣き出してしまった。
「ミシェルの馬鹿!!」
カーラは優しくクロワの肩を抱き、奥の部屋へ連れて行った。
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