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006 : 黄昏の館
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アマンダがその話を聞きつけ、宿まで行って話を聞いてきた。
女の友人に話を聞いた所、その赤毛の男とマルタンの特徴は酷似していた。
瞳は確かブラウンだったといっていたそうだが、前髪が長いせいでもう片方の瞳が見えなかったのかもしれない。
女は、赤毛の男と故郷に行って一緒に暮らすと言って、店を辞めたのだという。
「その故郷はどこなんですか!」
「ここから三つ程先の小さな町らしいよ。
……まさか、あんた、そこに行くつもりなのかい?」
「……ええ」
「よしな。
そんな男を追い掛けたって、あんたが悲しい想いをするだけさ。
良かったら、ここで一緒に暮らさないかい?」
「いえ……大丈夫です。
私達は恋人同士だったわけではないのです。
マルタンさんに好きな方が出来たならそれでも良いんです。
……ただ、今までのお礼とお別れを言いたいだけなんです。
それを伝えたら、またここへ帰ってきます…」
「……そうかい。
無理するんじゃないよ。」
「ええ…ありがとうございます。アマンダさん。」
「町までの地図を描いてあげるよ。」
「ええ…」
(……地図…?)
アマンダの言葉を聞いて、地図を持っていたことを思い出し、クロワはテーブルに地図を広げた。
「なんだ、立派な地図を持ってんじゃないか。」
「ここから三つ目というと…この町ですね?」
「そうだよ。
なだらかな道だから、行くのはそう大変じゃないけど、一週間はみといた方が良いね。
ま、途中にも宿はあるし、ここみたいに柄の悪い町はないから、困るこたぁないと思うけどね。」
「そうなんですか。
アマンダさんには本当にいろいろとお世話になりました。」
「何を言ってるのさ、世話になったのはこっちの方さ。
いいかい……辛いことがあったら、すぐに私の所に帰って来るんだよ。
わかったね!」
「ええ…ありがとう、アマンダさん…」
マルタンの手掛りがやっとみつかったのは良かったが、クロワの心は沈んでいた。
正直な気持ちを言えば、聞きたくはなかった。
今までマルタンに抱いていたイメージが一瞬にして崩れ去ったような…クロワはそんな寂しい気持ちを感じていた。
でも、それは、自分が勝手に造り上げていた幻想なのだ。
マルタンが悪いわけではない。
(……そんなこと、わかってる…)
……次の朝、クロワはひっそりと町を発った。
女の友人に話を聞いた所、その赤毛の男とマルタンの特徴は酷似していた。
瞳は確かブラウンだったといっていたそうだが、前髪が長いせいでもう片方の瞳が見えなかったのかもしれない。
女は、赤毛の男と故郷に行って一緒に暮らすと言って、店を辞めたのだという。
「その故郷はどこなんですか!」
「ここから三つ程先の小さな町らしいよ。
……まさか、あんた、そこに行くつもりなのかい?」
「……ええ」
「よしな。
そんな男を追い掛けたって、あんたが悲しい想いをするだけさ。
良かったら、ここで一緒に暮らさないかい?」
「いえ……大丈夫です。
私達は恋人同士だったわけではないのです。
マルタンさんに好きな方が出来たならそれでも良いんです。
……ただ、今までのお礼とお別れを言いたいだけなんです。
それを伝えたら、またここへ帰ってきます…」
「……そうかい。
無理するんじゃないよ。」
「ええ…ありがとうございます。アマンダさん。」
「町までの地図を描いてあげるよ。」
「ええ…」
(……地図…?)
アマンダの言葉を聞いて、地図を持っていたことを思い出し、クロワはテーブルに地図を広げた。
「なんだ、立派な地図を持ってんじゃないか。」
「ここから三つ目というと…この町ですね?」
「そうだよ。
なだらかな道だから、行くのはそう大変じゃないけど、一週間はみといた方が良いね。
ま、途中にも宿はあるし、ここみたいに柄の悪い町はないから、困るこたぁないと思うけどね。」
「そうなんですか。
アマンダさんには本当にいろいろとお世話になりました。」
「何を言ってるのさ、世話になったのはこっちの方さ。
いいかい……辛いことがあったら、すぐに私の所に帰って来るんだよ。
わかったね!」
「ええ…ありがとう、アマンダさん…」
マルタンの手掛りがやっとみつかったのは良かったが、クロワの心は沈んでいた。
正直な気持ちを言えば、聞きたくはなかった。
今までマルタンに抱いていたイメージが一瞬にして崩れ去ったような…クロワはそんな寂しい気持ちを感じていた。
でも、それは、自分が勝手に造り上げていた幻想なのだ。
マルタンが悪いわけではない。
(……そんなこと、わかってる…)
……次の朝、クロワはひっそりと町を発った。
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