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006 : 黄昏の館
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クロワはソレイユの館から隣の町を目指して森の奥へと歩き始めた。
奥へ進むほど、木々が生い茂って歩き辛くなって行く。
小さい頃から薬草採りのため山歩きには慣れていたクロワでさえ、困難を感じるほどのひどい道が続いている。
(シスターの言った通りだわ。
こんな山道を通って行こうと考える人はめったにいないでしょうね。)
明るい時でさえこんなに歩き辛い道を、真夜中に歩いて行こうと考える者がいるだろうか?
マルタンはランプは持っていたとはいえ、片手にランプを持ち、もう片手で枝をかきわけて進むのはかなり体力を使う作業だ。
(…でも、もし、ここまで来てしまったら…
やっぱり進むかしら…?
それとも引き返す?
引き返しても泊まる所がないとわかっていたら…もう少し進んだら町があると思ってたら…
やっぱり、頑張って進んでしまうかしら?)
「……あっ!!」
クロワは瞬間的に声をあげていた。急激に鼓動が速くなる。
考え事をしていたせいで、谷へ滑り落ちそうになったのだ。
(……こんな所に谷があったなんて…!)
クロワは谷底の深さをのぞこうとしたが、背の高い草にはばまれてよく見えない。
あまりに身を乗り出すと危険だと思い、のぞくことは諦めた。
「マルタンさ~ん!」
まさかとは思ったが、こんなにわかりにくい所では、滑り落ちていないとも限らない。
クロワは息をたっぷり吸い込んで大きな声でマルタンの名を呼んだ。
何度も繰り返し彼の名を叫んでは耳を澄ます…
しかし、聞こえて来るのはのどかな小鳥達の声と小川のせせらぎ、そしてさやさやとそよぐ木の葉の音だけだった。
もしかしたら、マルタンは怪我をして声が出せない状況なのかもしれない…
……最悪の場合、もう死んでいるのかもしれない…
クロワの脳裏に、あの日の血にまみれた瀕死のマルタンの姿が再び思い起こされる…
(……そんなこと…そんなこと、絶対にないわ!
マルタンさんはきっと隣町にいるのよ!!)
クロワは自分にそう言い聞かせることで気力を奮い立たせていた。
さっきから疲労と同時に空腹も感じていたのだが、ゆっくりと腰を降ろせるような場所がみつからない。
仕方なく、クロワはお茶だけを飲んで空腹を紛らせ前を向いて歩き続けた。
奥へ進むほど、木々が生い茂って歩き辛くなって行く。
小さい頃から薬草採りのため山歩きには慣れていたクロワでさえ、困難を感じるほどのひどい道が続いている。
(シスターの言った通りだわ。
こんな山道を通って行こうと考える人はめったにいないでしょうね。)
明るい時でさえこんなに歩き辛い道を、真夜中に歩いて行こうと考える者がいるだろうか?
マルタンはランプは持っていたとはいえ、片手にランプを持ち、もう片手で枝をかきわけて進むのはかなり体力を使う作業だ。
(…でも、もし、ここまで来てしまったら…
やっぱり進むかしら…?
それとも引き返す?
引き返しても泊まる所がないとわかっていたら…もう少し進んだら町があると思ってたら…
やっぱり、頑張って進んでしまうかしら?)
「……あっ!!」
クロワは瞬間的に声をあげていた。急激に鼓動が速くなる。
考え事をしていたせいで、谷へ滑り落ちそうになったのだ。
(……こんな所に谷があったなんて…!)
クロワは谷底の深さをのぞこうとしたが、背の高い草にはばまれてよく見えない。
あまりに身を乗り出すと危険だと思い、のぞくことは諦めた。
「マルタンさ~ん!」
まさかとは思ったが、こんなにわかりにくい所では、滑り落ちていないとも限らない。
クロワは息をたっぷり吸い込んで大きな声でマルタンの名を呼んだ。
何度も繰り返し彼の名を叫んでは耳を澄ます…
しかし、聞こえて来るのはのどかな小鳥達の声と小川のせせらぎ、そしてさやさやとそよぐ木の葉の音だけだった。
もしかしたら、マルタンは怪我をして声が出せない状況なのかもしれない…
……最悪の場合、もう死んでいるのかもしれない…
クロワの脳裏に、あの日の血にまみれた瀕死のマルタンの姿が再び思い起こされる…
(……そんなこと…そんなこと、絶対にないわ!
マルタンさんはきっと隣町にいるのよ!!)
クロワは自分にそう言い聞かせることで気力を奮い立たせていた。
さっきから疲労と同時に空腹も感じていたのだが、ゆっくりと腰を降ろせるような場所がみつからない。
仕方なく、クロワはお茶だけを飲んで空腹を紛らせ前を向いて歩き続けた。
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