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005 : 夏至祭の女王
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次の朝は突き抜けるような青い空だった。
そんな天気とは裏腹に、今度の旅は今までよりは多少苦労があることがわかった。
次の町まで離れているため、泊まる場所がなさそうなのだ。
しかし、こんなに良い天気なら、野宿もそれほど大変なことでもなさそうだ。
私達はいつものように他愛ない話をしながら、次の町を目指して歩いていた。
このあたりには特に珍しいものも質の良い薬草もないようで、薬草採りをしなかったため、思ったよりも早く進むことが出来た。
「あら…?」
太陽が傾きかけた頃だった。
道の斜面を降りた所に一人の少年の姿をみつけた。
粗末な小屋の裏手に少年は跪いていた。
少年の目の前にあるものは、墓のように見えた。
「…マルタンさん…
ちょっと、行ってみませんか?」
そういうと、クロワは私の返事を待つこともなく、斜面を降り始めていた。
私も黙ってクロワに着いていく。
少年はよほど真剣に祈りを捧げているのか、私達が近付いていることにも気が付いてないようだった。
その墓はまだ新しく、盛り固められた土にはまだ柔らかさが残っているようで、その上にはおそらく少年が作ったであろう木片の十字架が建てられていた。
「…坊や…」
少年は不意にかけられたクロワの声に驚き、涙で濡れた顔をこちらに向けた。
その瞳には尋常ではない畏れを讚え、小さな身体はガタガタと小刻に震えていた。
「…ぼ…ぼく…」
「驚かせてごめんなさいね。
怖がらないで良いのよ。
私達はたまたま通りがかった旅の者だから…」
そういうと、クロワはしゃがみこみ、少年の震える身体を抱き締めた。
少年は一瞬驚いた顔をしたが、そのうち安心したのかぽろぽろと大粒の涙を流し、やがてその涙は勢いを増して滝のように流れ出した。
「…お、おねぇちゃん…
ぼく…ぼく…」
少年は、クロワの首にしがみつくように抱きつくと、声をあげてひとしきり泣いた。
クロワは少年の頭をなでながら、少年の涙が枯れるまでずっと抱き締め続けていた。
その傍らで私は呆然と立ち尽くし、この少年の身の上に起こったことを漠然と想像していた。
…おそらく、ごく最近、この少年の身内が亡くなり…
この墓はその者の墓なのだろう…
この少年はきっとひとりぼっちになってしまったのだ…
そんな天気とは裏腹に、今度の旅は今までよりは多少苦労があることがわかった。
次の町まで離れているため、泊まる場所がなさそうなのだ。
しかし、こんなに良い天気なら、野宿もそれほど大変なことでもなさそうだ。
私達はいつものように他愛ない話をしながら、次の町を目指して歩いていた。
このあたりには特に珍しいものも質の良い薬草もないようで、薬草採りをしなかったため、思ったよりも早く進むことが出来た。
「あら…?」
太陽が傾きかけた頃だった。
道の斜面を降りた所に一人の少年の姿をみつけた。
粗末な小屋の裏手に少年は跪いていた。
少年の目の前にあるものは、墓のように見えた。
「…マルタンさん…
ちょっと、行ってみませんか?」
そういうと、クロワは私の返事を待つこともなく、斜面を降り始めていた。
私も黙ってクロワに着いていく。
少年はよほど真剣に祈りを捧げているのか、私達が近付いていることにも気が付いてないようだった。
その墓はまだ新しく、盛り固められた土にはまだ柔らかさが残っているようで、その上にはおそらく少年が作ったであろう木片の十字架が建てられていた。
「…坊や…」
少年は不意にかけられたクロワの声に驚き、涙で濡れた顔をこちらに向けた。
その瞳には尋常ではない畏れを讚え、小さな身体はガタガタと小刻に震えていた。
「…ぼ…ぼく…」
「驚かせてごめんなさいね。
怖がらないで良いのよ。
私達はたまたま通りがかった旅の者だから…」
そういうと、クロワはしゃがみこみ、少年の震える身体を抱き締めた。
少年は一瞬驚いた顔をしたが、そのうち安心したのかぽろぽろと大粒の涙を流し、やがてその涙は勢いを増して滝のように流れ出した。
「…お、おねぇちゃん…
ぼく…ぼく…」
少年は、クロワの首にしがみつくように抱きつくと、声をあげてひとしきり泣いた。
クロワは少年の頭をなでながら、少年の涙が枯れるまでずっと抱き締め続けていた。
その傍らで私は呆然と立ち尽くし、この少年の身の上に起こったことを漠然と想像していた。
…おそらく、ごく最近、この少年の身内が亡くなり…
この墓はその者の墓なのだろう…
この少年はきっとひとりぼっちになってしまったのだ…
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