お題小説

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
21 / 641
004 : 夜光珠の杯

しおりを挟む
「そんな危険を侵してまで、泥棒はどうして杯を盗んだんでしょうね?」

「たまたまどっかの田舎からやってきて、杯の伝説のことを詳しく知らなかったのかもしれねぇな。
それじゃなきゃそんな危険なことはしねぇだろうよ。
または誰かにそそのかされたのかもな。」

「盗んだ人はもう亡くなってしまったんでしょうか?」

「そりゃ、間違いないさ!
そして、盗みをそそのかした奴が売り捌きやがったに違えねぇ!
畜生め!」

男はテーブルを叩いて激昂していた。
純粋といおうか、なんといおうか…
そのうちに、しゃべり疲れたのか酔いが完全にまわったのか、男はその場に眠り込んでしまった。
そのままにしておくわけにもいかず、私と宿の主人とで男を抱え長椅子に寝かせ、私達は部屋へ戻った。

明日の朝にはまた新しい町を目指して旅立つつもりだ。
今度の町までは少しあるようだが、資金も旅に必要なものも十分にある。
きっと、快適な旅になるだろう…
しおりを挟む

処理中です...