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004 : 夜光珠の杯
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「お待たせしてしまいました!」
クロワは祠から出てくると、広場の一角で薬を売ると言い出した。
私は持ってきていた敷きものを敷き、薬を並べるのを手伝った。
あたりに出ていたのはほとんどが夜光珠の土産売りばかりだったせいか、ここでもクロワの薬はとても良く売れた。
昨夜泊まった宿屋の主人までもが胃薬を買いに来た。
「マルタンさん、この町にあと二~三日滞在してもかまいませんか?」
「ええ、行くあても決まってないのですからそれは構いませんよ。」
「ここには観光客もたくさん来ていますよね。
次の町に行くまでに、ここで少しまとめて資金を稼いでおきましょう!」
働き者で経済観念がしっかりしていて…
彼女のおかげで本当に助かっている。
そう思えば思うほど、何も出来ない自分に焦りと苛立ちを感じてしまう…
(……私は一体何をしていた人間なのだろう…?
私には何が出来るのだろう?
…今の私はまるでヒモではないか…)
そんなことを考えては、軽い自己嫌悪に陥ってしまう…
「マルタンさん!」
クロワに声をかけられ、はっと我に返った。
「どうかなさいました…?」
「……いえ…なんでもありません…」
*
次の日、私達は山に薬草を採りに行きクロワが薬を作り、そのまた次の日に祠の前の広場で薬を売った。
この日も予想以上に薬は売れ、その甲斐あって、旅の資金も考えていたよりも多く稼げた。
その晩は違う宿に泊まることにした。
今度の宿は、正直そうな老夫婦の営む宿で、泊まり客も少なく食堂も静かな雰囲気に包まれていた。
「最初からここへ泊まれば良かったですね。」
「仕方ありませんよ。
あの時は着いたばかりで何もわからなかったのですから…」
「あ…あんたら…」
食堂で一人の男が声をかけてきた。
その顔にはなんとなく見覚えがあるような気がしたのだが、それがどこでだったのか思い出せない。
「薬は売れてるみたいだな。
俺の友達も頭痛がひどくてあんたの薬を買ったんだが、よく効くってびっくりしてたぜ!」
「それはどうもありがとうございます。」
「あんたら、夫婦かい?」
「いえ、まさか…!
私達はちょっとした事情から一緒に旅をしているだけなんです。」
クロワは祠から出てくると、広場の一角で薬を売ると言い出した。
私は持ってきていた敷きものを敷き、薬を並べるのを手伝った。
あたりに出ていたのはほとんどが夜光珠の土産売りばかりだったせいか、ここでもクロワの薬はとても良く売れた。
昨夜泊まった宿屋の主人までもが胃薬を買いに来た。
「マルタンさん、この町にあと二~三日滞在してもかまいませんか?」
「ええ、行くあても決まってないのですからそれは構いませんよ。」
「ここには観光客もたくさん来ていますよね。
次の町に行くまでに、ここで少しまとめて資金を稼いでおきましょう!」
働き者で経済観念がしっかりしていて…
彼女のおかげで本当に助かっている。
そう思えば思うほど、何も出来ない自分に焦りと苛立ちを感じてしまう…
(……私は一体何をしていた人間なのだろう…?
私には何が出来るのだろう?
…今の私はまるでヒモではないか…)
そんなことを考えては、軽い自己嫌悪に陥ってしまう…
「マルタンさん!」
クロワに声をかけられ、はっと我に返った。
「どうかなさいました…?」
「……いえ…なんでもありません…」
*
次の日、私達は山に薬草を採りに行きクロワが薬を作り、そのまた次の日に祠の前の広場で薬を売った。
この日も予想以上に薬は売れ、その甲斐あって、旅の資金も考えていたよりも多く稼げた。
その晩は違う宿に泊まることにした。
今度の宿は、正直そうな老夫婦の営む宿で、泊まり客も少なく食堂も静かな雰囲気に包まれていた。
「最初からここへ泊まれば良かったですね。」
「仕方ありませんよ。
あの時は着いたばかりで何もわからなかったのですから…」
「あ…あんたら…」
食堂で一人の男が声をかけてきた。
その顔にはなんとなく見覚えがあるような気がしたのだが、それがどこでだったのか思い出せない。
「薬は売れてるみたいだな。
俺の友達も頭痛がひどくてあんたの薬を買ったんだが、よく効くってびっくりしてたぜ!」
「それはどうもありがとうございます。」
「あんたら、夫婦かい?」
「いえ、まさか…!
私達はちょっとした事情から一緒に旅をしているだけなんです。」
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