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新たな旅へ
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「遅いな。
そろそろオニガワラさんが戻って来られるはずなのだが…」
連絡を受けたルーファスとラビッツは、城門の前でオニガワラの到着を待っていた。
「……ん?
あれは、なんじゃ…?」
道の真ん中を土煙が走って来る。
ぶひーーーーー
土煙は、謎の声を残し、ラビッツにもひけを取らない猛スピードで城の中に走り去った。
「ブーーー!」
悪魔のようなお叫びと共に、どすどすという不気味な地響きが響いてきた。
「ラビッツ、大変じゃ!地震じゃ!」
「ルーファス様、地震ではありません。
あれをご覧下さい。」
「あれ…?
あ!あれは異国のなまはげか!?」
「違います!
オニガワラ様とシーサー様です!」
「な、なんと!あれがシーサー様!」
ルーファスが驚くのも無理はなかった。
半年前にこの国を旅立った時のシーサーとは、横も縦もずっと大きくなっていたのだから。
シーサーは、なぜだがナイフとフォークを手に、よだれを垂らしながら走っている。
「ちょっと!あんた達!」
「オニガワラ様、お帰りなさいませ。
お待ちしておりました。」
「そんなことより、あんた達、ブタを見なかった?」
「ブタ…?」
「それから、先程向こうに走って行きました。」
首を傾げるルーファスの隣で、ラビッツが道を指差した。
「あっちね!わかったわ!」
オニガワラとシーサーは、ラビッツの指差した方向へ走り去った。
「ラビッツ…ブタなんぞ通ったか?」
「通ったではありませんか。
オニガワラ様達の来られる前に、ものすごいスピードで城の中へ…」
「城の中へ…あぁ、先程の土煙はブタだったのか…
しかし、それなら、なぜ、向こうに行ったなどと言ったのだ?」
「シーサー様は先程のブタを食べるおつもりのようです。
それはあまりにむごい…
そう思いまして、ついあんな嘘を…」
「そうだったのか…ん?」
ルーファスが城の方を振り向くと、物陰に小さな生き物がいるのが見えた。
「おぉ、おまえだったのか。
安心せい…怖いなまはげ達は今はおらんぞ。」
「ぶひぃ…」
その言葉を聞いて安心したのか、ブタは二人の前に姿を現した。
「遅いな。
そろそろオニガワラさんが戻って来られるはずなのだが…」
連絡を受けたルーファスとラビッツは、城門の前でオニガワラの到着を待っていた。
「……ん?
あれは、なんじゃ…?」
道の真ん中を土煙が走って来る。
ぶひーーーーー
土煙は、謎の声を残し、ラビッツにもひけを取らない猛スピードで城の中に走り去った。
「ブーーー!」
悪魔のようなお叫びと共に、どすどすという不気味な地響きが響いてきた。
「ラビッツ、大変じゃ!地震じゃ!」
「ルーファス様、地震ではありません。
あれをご覧下さい。」
「あれ…?
あ!あれは異国のなまはげか!?」
「違います!
オニガワラ様とシーサー様です!」
「な、なんと!あれがシーサー様!」
ルーファスが驚くのも無理はなかった。
半年前にこの国を旅立った時のシーサーとは、横も縦もずっと大きくなっていたのだから。
シーサーは、なぜだがナイフとフォークを手に、よだれを垂らしながら走っている。
「ちょっと!あんた達!」
「オニガワラ様、お帰りなさいませ。
お待ちしておりました。」
「そんなことより、あんた達、ブタを見なかった?」
「ブタ…?」
「それから、先程向こうに走って行きました。」
首を傾げるルーファスの隣で、ラビッツが道を指差した。
「あっちね!わかったわ!」
オニガワラとシーサーは、ラビッツの指差した方向へ走り去った。
「ラビッツ…ブタなんぞ通ったか?」
「通ったではありませんか。
オニガワラ様達の来られる前に、ものすごいスピードで城の中へ…」
「城の中へ…あぁ、先程の土煙はブタだったのか…
しかし、それなら、なぜ、向こうに行ったなどと言ったのだ?」
「シーサー様は先程のブタを食べるおつもりのようです。
それはあまりにむごい…
そう思いまして、ついあんな嘘を…」
「そうだったのか…ん?」
ルーファスが城の方を振り向くと、物陰に小さな生き物がいるのが見えた。
「おぉ、おまえだったのか。
安心せい…怖いなまはげ達は今はおらんぞ。」
「ぶひぃ…」
その言葉を聞いて安心したのか、ブタは二人の前に姿を現した。
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