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ルカ(聖夜月ルカ)

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06 はじめて経験したこと

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「う…うぅん…」



 「おや、気が付いたかね?」

あれから、どのくらいの時が流れたのかわかりません…
私がいたのは、狭い部屋の中でした。
 家具もほとんどなく、ベッドも固いものでした。
 私はそこに寝かされていたのです。
そして、私の目の前には年の割には元気そうなご老人がいらっしゃいました。
 私は、どうやら死んではいなかったようです。



 「あなたが助けて下さったんですか?」

 「そうじゃ、あんたは道の真ん中で倒れとった。
そのままにもしておけんから、荷車に載せて連れて来たんじゃ。
 重かったぞ。」

 「そ、それは、ご迷惑をおかけしました。」

 私はあわてて上体を起こし、ご老人にお礼を言いました。



ぐぅぅぅぅぅ……



その時、私のおなかからすごい音がしたのです。



 「わ…!
なんだ、今のは…?!
ご老人、私は病気にかかっているようです。
ご迷惑ついでに、お薬をわけていただけないでしょうか?」

 「病気?
おまえさん、顔に似合わず冗談が好きなんじゃな。
 待っていなされ。
 今すぐに用意するから…」



 用意…?
 一体、何の用意をするというのでしょうか?
ご老人が部屋を出て行かれてからも、私のおなかの中からはおかしな音がしています。
 病状は良く無さそうです。



 (も…もしや、あのご老人はあんななりをしてらっしゃるが、実はお医者様で、これから私の病気を治すための手術をして下さるのでは…?!)



しばらくすると、ご老人が部屋の入口で私に手招きをしました。

 「さ、出来たよ。こっちじゃ。」



 連れていかれたのは、ごちゃごちゃした小部屋。
そこは手術室ではなくキッチンでした。
 食卓の上には食べ物が置いてあり、なんだかとても良いにおいがしていました。



ぐぅぅぅぅ……



私のおなかの中からより一層大きな音がしました。



 「さ、早くお食べ。」

 「こ、これを私が食べるんですか?」

 「……おまえさんじゃない。
おまえさんの腹の中の虫に食べさせてやるんじゃ!」

 「む、む、虫~~~!!」

なんということでしょう。
 私のおなかの中には、虫がいるんだそうです。
そんなことがわかるなんて、このご老人はすごい方に違いありません。
そうだ!
きっと、この食事の中に虫をやっつける薬が仕込まれてるに違いありません!



 「ありがとうございます!
では、早速、いただきます!」

 私は虫をやっつけるため用意された食事に手を付けました。
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