15 / 29
06 はじめて経験したこと
4
しおりを挟む
「う…うぅん…」
「おや、気が付いたかね?」
あれから、どのくらいの時が流れたのかわかりません…
私がいたのは、狭い部屋の中でした。
家具もほとんどなく、ベッドも固いものでした。
私はそこに寝かされていたのです。
そして、私の目の前には年の割には元気そうなご老人がいらっしゃいました。
私は、どうやら死んではいなかったようです。
「あなたが助けて下さったんですか?」
「そうじゃ、あんたは道の真ん中で倒れとった。
そのままにもしておけんから、荷車に載せて連れて来たんじゃ。
重かったぞ。」
「そ、それは、ご迷惑をおかけしました。」
私はあわてて上体を起こし、ご老人にお礼を言いました。
ぐぅぅぅぅぅ……
その時、私のおなかからすごい音がしたのです。
「わ…!
なんだ、今のは…?!
ご老人、私は病気にかかっているようです。
ご迷惑ついでに、お薬をわけていただけないでしょうか?」
「病気?
おまえさん、顔に似合わず冗談が好きなんじゃな。
待っていなされ。
今すぐに用意するから…」
用意…?
一体、何の用意をするというのでしょうか?
ご老人が部屋を出て行かれてからも、私のおなかの中からはおかしな音がしています。
病状は良く無さそうです。
(も…もしや、あのご老人はあんななりをしてらっしゃるが、実はお医者様で、これから私の病気を治すための手術をして下さるのでは…?!)
しばらくすると、ご老人が部屋の入口で私に手招きをしました。
「さ、出来たよ。こっちじゃ。」
連れていかれたのは、ごちゃごちゃした小部屋。
そこは手術室ではなくキッチンでした。
食卓の上には食べ物が置いてあり、なんだかとても良いにおいがしていました。
ぐぅぅぅぅ……
私のおなかの中からより一層大きな音がしました。
「さ、早くお食べ。」
「こ、これを私が食べるんですか?」
「……おまえさんじゃない。
おまえさんの腹の中の虫に食べさせてやるんじゃ!」
「む、む、虫~~~!!」
なんということでしょう。
私のおなかの中には、虫がいるんだそうです。
そんなことがわかるなんて、このご老人はすごい方に違いありません。
そうだ!
きっと、この食事の中に虫をやっつける薬が仕込まれてるに違いありません!
「ありがとうございます!
では、早速、いただきます!」
私は虫をやっつけるため用意された食事に手を付けました。
「おや、気が付いたかね?」
あれから、どのくらいの時が流れたのかわかりません…
私がいたのは、狭い部屋の中でした。
家具もほとんどなく、ベッドも固いものでした。
私はそこに寝かされていたのです。
そして、私の目の前には年の割には元気そうなご老人がいらっしゃいました。
私は、どうやら死んではいなかったようです。
「あなたが助けて下さったんですか?」
「そうじゃ、あんたは道の真ん中で倒れとった。
そのままにもしておけんから、荷車に載せて連れて来たんじゃ。
重かったぞ。」
「そ、それは、ご迷惑をおかけしました。」
私はあわてて上体を起こし、ご老人にお礼を言いました。
ぐぅぅぅぅぅ……
その時、私のおなかからすごい音がしたのです。
「わ…!
なんだ、今のは…?!
ご老人、私は病気にかかっているようです。
ご迷惑ついでに、お薬をわけていただけないでしょうか?」
「病気?
おまえさん、顔に似合わず冗談が好きなんじゃな。
待っていなされ。
今すぐに用意するから…」
用意…?
一体、何の用意をするというのでしょうか?
ご老人が部屋を出て行かれてからも、私のおなかの中からはおかしな音がしています。
病状は良く無さそうです。
(も…もしや、あのご老人はあんななりをしてらっしゃるが、実はお医者様で、これから私の病気を治すための手術をして下さるのでは…?!)
しばらくすると、ご老人が部屋の入口で私に手招きをしました。
「さ、出来たよ。こっちじゃ。」
連れていかれたのは、ごちゃごちゃした小部屋。
そこは手術室ではなくキッチンでした。
食卓の上には食べ物が置いてあり、なんだかとても良いにおいがしていました。
ぐぅぅぅぅ……
私のおなかの中からより一層大きな音がしました。
「さ、早くお食べ。」
「こ、これを私が食べるんですか?」
「……おまえさんじゃない。
おまえさんの腹の中の虫に食べさせてやるんじゃ!」
「む、む、虫~~~!!」
なんということでしょう。
私のおなかの中には、虫がいるんだそうです。
そんなことがわかるなんて、このご老人はすごい方に違いありません。
そうだ!
きっと、この食事の中に虫をやっつける薬が仕込まれてるに違いありません!
「ありがとうございます!
では、早速、いただきます!」
私は虫をやっつけるため用意された食事に手を付けました。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ああ、もういらないのね
志位斗 茂家波
ファンタジー
……ある国で起きた、婚約破棄。
それは重要性を理解していなかったがゆえに起きた悲劇の始まりでもあった。
だけど、もうその事を理解しても遅い…‥‥
たまにやりたくなる短編。興味があればぜひどうぞ。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる