STORY BOXⅡ

ルカ(聖夜月ルカ)

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050.星屑の欠片

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 「ここか……」

ケヴィンはゆっくりと空を見上げた。
 自分の吐いた白い息の向こうには、丸い月とそれを取り巻く煌く星の絨毯が広がっていた。



 「本当だ…君の言った通りだな。
すごい数の星だ…」

そんなことを呟くケヴィンの瞳からは熱い涙が溢れていた。
 空の星々が、ケヴィンの瞳の中でゆらゆらと揺らめく…



(ジョゼット……)

 涙を指で拭いながら、視線を落とした先に、ケヴィンは雪だるまをみつけた。
 青いバケツの帽子をかぶった雪だるまだ。



 「こんばんは、雪だるま君。」

ケヴィンは雪だるまに片手をあげてそう声をかけ、自分のマフラーを取り去ると、それを雪だるまの首に巻きつけた。



 「うん、よく似合うよ。」



 (ありがとう…)



 「え…っ?!」

ケヴィンは不意に聞こえた声にあたりを見渡すが、それらしき人影はみつからない。



 (どこ見てんのさ。
 僕はここだよ。君の目の前)



 「えっ?俺の目の前って…?」

そこにいたのは、ケヴィンが首にマフラーを巻きつけた雪だるまだけだった。



 「……まさか…今のはおまえじゃないよな?雪だるま君。」



 (そう、そのまさかだよ。)



 「えっ?!」

 一瞬、目を丸くしたケヴィンが、次の瞬間、腹を抱えて笑い出した。



 (どうして、そんなに笑うんだい?)



 「いや、あまりに愉快だと思ってね。
 雪だるまの声が聞こえるなんて、俺の頭はいつの間にこんなにイカれてたのかって…」

 (君はイカれてなんかいないさ。
 他の人より…そう、ちょっと敏感なだけだよ。)



 「敏感?いいかげんなことを言ってくれるなよ。……俺は、人よりずっと鈍感さ!」

ケヴィンは急に眉間に皺を寄せ、声を荒げた。



 (……ジョゼットのことを言ってるのかい?)

 「おまえ、なんで、そんなことを…!」

 (君の心の中をちょっとのぞいちゃったから…)

 「……おまえ……」

ケヴィンは、雪だるまにもたれかかるようにその場に腰を降ろした。



 「そっか…
おまえには、俺がここに来た理由もすべてお見通しってわけなんだな?」

 (全部かどうかわからないけど…
君が考えてることはだいたいわかるよ。)

ケヴィンは俯いて口端を上げた。
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