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050.星屑の欠片
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「ここか……」
ケヴィンはゆっくりと空を見上げた。
自分の吐いた白い息の向こうには、丸い月とそれを取り巻く煌く星の絨毯が広がっていた。
「本当だ…君の言った通りだな。
すごい数の星だ…」
そんなことを呟くケヴィンの瞳からは熱い涙が溢れていた。
空の星々が、ケヴィンの瞳の中でゆらゆらと揺らめく…
(ジョゼット……)
涙を指で拭いながら、視線を落とした先に、ケヴィンは雪だるまをみつけた。
青いバケツの帽子をかぶった雪だるまだ。
「こんばんは、雪だるま君。」
ケヴィンは雪だるまに片手をあげてそう声をかけ、自分のマフラーを取り去ると、それを雪だるまの首に巻きつけた。
「うん、よく似合うよ。」
(ありがとう…)
「え…っ?!」
ケヴィンは不意に聞こえた声にあたりを見渡すが、それらしき人影はみつからない。
(どこ見てんのさ。
僕はここだよ。君の目の前)
「えっ?俺の目の前って…?」
そこにいたのは、ケヴィンが首にマフラーを巻きつけた雪だるまだけだった。
「……まさか…今のはおまえじゃないよな?雪だるま君。」
(そう、そのまさかだよ。)
「えっ?!」
一瞬、目を丸くしたケヴィンが、次の瞬間、腹を抱えて笑い出した。
(どうして、そんなに笑うんだい?)
「いや、あまりに愉快だと思ってね。
雪だるまの声が聞こえるなんて、俺の頭はいつの間にこんなにイカれてたのかって…」
(君はイカれてなんかいないさ。
他の人より…そう、ちょっと敏感なだけだよ。)
「敏感?いいかげんなことを言ってくれるなよ。……俺は、人よりずっと鈍感さ!」
ケヴィンは急に眉間に皺を寄せ、声を荒げた。
(……ジョゼットのことを言ってるのかい?)
「おまえ、なんで、そんなことを…!」
(君の心の中をちょっとのぞいちゃったから…)
「……おまえ……」
ケヴィンは、雪だるまにもたれかかるようにその場に腰を降ろした。
「そっか…
おまえには、俺がここに来た理由もすべてお見通しってわけなんだな?」
(全部かどうかわからないけど…
君が考えてることはだいたいわかるよ。)
ケヴィンは俯いて口端を上げた。
ケヴィンはゆっくりと空を見上げた。
自分の吐いた白い息の向こうには、丸い月とそれを取り巻く煌く星の絨毯が広がっていた。
「本当だ…君の言った通りだな。
すごい数の星だ…」
そんなことを呟くケヴィンの瞳からは熱い涙が溢れていた。
空の星々が、ケヴィンの瞳の中でゆらゆらと揺らめく…
(ジョゼット……)
涙を指で拭いながら、視線を落とした先に、ケヴィンは雪だるまをみつけた。
青いバケツの帽子をかぶった雪だるまだ。
「こんばんは、雪だるま君。」
ケヴィンは雪だるまに片手をあげてそう声をかけ、自分のマフラーを取り去ると、それを雪だるまの首に巻きつけた。
「うん、よく似合うよ。」
(ありがとう…)
「え…っ?!」
ケヴィンは不意に聞こえた声にあたりを見渡すが、それらしき人影はみつからない。
(どこ見てんのさ。
僕はここだよ。君の目の前)
「えっ?俺の目の前って…?」
そこにいたのは、ケヴィンが首にマフラーを巻きつけた雪だるまだけだった。
「……まさか…今のはおまえじゃないよな?雪だるま君。」
(そう、そのまさかだよ。)
「えっ?!」
一瞬、目を丸くしたケヴィンが、次の瞬間、腹を抱えて笑い出した。
(どうして、そんなに笑うんだい?)
「いや、あまりに愉快だと思ってね。
雪だるまの声が聞こえるなんて、俺の頭はいつの間にこんなにイカれてたのかって…」
(君はイカれてなんかいないさ。
他の人より…そう、ちょっと敏感なだけだよ。)
「敏感?いいかげんなことを言ってくれるなよ。……俺は、人よりずっと鈍感さ!」
ケヴィンは急に眉間に皺を寄せ、声を荒げた。
(……ジョゼットのことを言ってるのかい?)
「おまえ、なんで、そんなことを…!」
(君の心の中をちょっとのぞいちゃったから…)
「……おまえ……」
ケヴィンは、雪だるまにもたれかかるようにその場に腰を降ろした。
「そっか…
おまえには、俺がここに来た理由もすべてお見通しってわけなんだな?」
(全部かどうかわからないけど…
君が考えてることはだいたいわかるよ。)
ケヴィンは俯いて口端を上げた。
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