STORY BOXⅡ

ルカ(聖夜月ルカ)

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026.雪の花

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 「ちょっと、あんた!
そんな所で寝てたら風邪ひくぜ!」

 「え……?」

 「もしかして、昨夜からここで寝てたのか?
もうとっくにお天道様が上ってるぜ!」

ラリーはぼんやりとした意識のまま、ゆっくりと身体を起こす。
 右手がぐっしょりと濡れていることに気付き、濡れた手をシャツになすりつけた。



 「飲み過ぎは良くないぜ。
 気をつけなよ!」

 見知らぬ男は手を振りながら去って行った。



 (あれ…?ここはどこだ?)

あたりの風景に見覚えはなかった。



 (また飲みすぎたのか?
まずいな、なにも思い出せねぇ…)

 頭を振りながら、ラリーは立ちあがり、歩き始めた。



 (とりあえず、酒場でも行ってみるか。
そしたら昨夜のことを覚えてる奴がいるかもしれない。
……それにしても、ここはどこなんだ?
 俺がいた町とは違うようだが…)

 奇妙な感覚を感じながら、ラリーは酒場を探し歩いた。





ラリーの記憶は、春になって溶けた雪のようにすっかり消え失せていた。
 雪の花の伝説を聞いたこと…それを探して旅をして、崖から飛んで、迷いこんだ不思議な世界のこと…
そして、自分の命と引き換えに、彼を救ってくれた清らかな白い花が…太陽を見た唯一の雪の花がいたことも…

~Fin~
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