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026.雪の花
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(畜生!
これは絶対に何かの間違いだ!
地獄と天国の振り分けを間違えたに違いないぞ!
探さなきゃ!
そういう係りの奴を探し出して、はっきり言ってやらねぇと!)
「おーーーーい!
誰かーーー!
誰か、いないのかーーーー!」
怒りに任せて歩き出したのは良かったが、ラリーの身体はすでにかなり疲労しており、そこに寒さも加わって思うようには歩けなかった。
「おーーーい…」
歩けども歩けども変わることのない白い景色も、ラリーの気持ちを萎えさせる。
(このままじゃ死んじまう…
あ……俺はもう死んでたんだっけ…)
もつれる足を一歩一歩抱えるように歩いていると、いつしか舞い落ちる雪が少なくなっていた。
だが、周りの風景は変わることなく、ただ先程より幾分視界が良くなっただけのことだった。
(もうダメだ…これ以上歩けねぇ…)
ラリーが諦めかけた時、目の端になにか動くものを捕えた。
それがラリーにわずかな気力を与え、ラリーは力を振り絞りながら歩き続けた。
「こ…これは……!」
ラリーは放心したように、動くものの傍へ歩み寄る…
「もしかしたら、これが伝説の……」
ラリーの目の前には、白い花々が群生し、ゆらゆらと揺れていた。
それは、何枚もの花びらをまとった女性の握り拳程度の大きさの真っ白な花だった。
ありふれた形ではあったが、茎も葉もそのすべてが白い。
ラリーは無意識に花に手を伸ばしていた。
かじかんだラリーの手では、それが冷たいのかどうかもよくはわからなかったが、その感触はとても固いものだった。
「可哀想に…こんな寒い所にいるからこんなに固くなったんだな…
おまえ達はこの世界から出たことがないんだな。
外はこんなに寒くないんだぜ。
青い空が広がって、暖かい太陽が輝いてるんだ。
太陽を見たことがないなんて…可哀想だ…
俺が生きてりゃ……おまえに太陽を見せてやるのによ…」
花に向かって呟きながら、ラリーはそのまま意識を失った……
これは絶対に何かの間違いだ!
地獄と天国の振り分けを間違えたに違いないぞ!
探さなきゃ!
そういう係りの奴を探し出して、はっきり言ってやらねぇと!)
「おーーーーい!
誰かーーー!
誰か、いないのかーーーー!」
怒りに任せて歩き出したのは良かったが、ラリーの身体はすでにかなり疲労しており、そこに寒さも加わって思うようには歩けなかった。
「おーーーい…」
歩けども歩けども変わることのない白い景色も、ラリーの気持ちを萎えさせる。
(このままじゃ死んじまう…
あ……俺はもう死んでたんだっけ…)
もつれる足を一歩一歩抱えるように歩いていると、いつしか舞い落ちる雪が少なくなっていた。
だが、周りの風景は変わることなく、ただ先程より幾分視界が良くなっただけのことだった。
(もうダメだ…これ以上歩けねぇ…)
ラリーが諦めかけた時、目の端になにか動くものを捕えた。
それがラリーにわずかな気力を与え、ラリーは力を振り絞りながら歩き続けた。
「こ…これは……!」
ラリーは放心したように、動くものの傍へ歩み寄る…
「もしかしたら、これが伝説の……」
ラリーの目の前には、白い花々が群生し、ゆらゆらと揺れていた。
それは、何枚もの花びらをまとった女性の握り拳程度の大きさの真っ白な花だった。
ありふれた形ではあったが、茎も葉もそのすべてが白い。
ラリーは無意識に花に手を伸ばしていた。
かじかんだラリーの手では、それが冷たいのかどうかもよくはわからなかったが、その感触はとても固いものだった。
「可哀想に…こんな寒い所にいるからこんなに固くなったんだな…
おまえ達はこの世界から出たことがないんだな。
外はこんなに寒くないんだぜ。
青い空が広がって、暖かい太陽が輝いてるんだ。
太陽を見たことがないなんて…可哀想だ…
俺が生きてりゃ……おまえに太陽を見せてやるのによ…」
花に向かって呟きながら、ラリーはそのまま意識を失った……
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