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024.機械少女
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「ふぅ~…やっと着いたぜ…」
宿に着いたジュリアンが、背負っていた大きな袋をベッドの上に置いた。
その袋から出て来たのは、ヒルダだった。
「おまえ、みかけによらず重いな。
とにかく、ここでじっとしてろ。
服を調達してくるからな。」
「はい。」
ジュリアンは町の雑貨屋に行くと、ヒルダに似合そうなワンピースと靴を買い、すぐさま宿に戻った。
「ほらよ、これを着な!」
ジュリアンの買って来た服に着替えたヒルダは、どこからどう見てもごく普通の人間にしか見えなかった。
「おまえ、本当に機械なのか?」
「はい。」
「信じられないな…おまえが機械だなんて…
あ、それから、金…
そうたくさんはないが、これで必要なものを揃えな。
さすがに恥ずかしくて下着までは買えなかったからな。
それと、このあたりの地図だ。」
「ありがとうございました、ジュリアンさん。
それでは、私はこれで…」
「おいおい、もう行くのか?」
「はい。
早く、完全体にならなくてはいけませんから。
では、さようなら、ジュリアンさん。」
「あ…あぁ、そうか。
じゃあ、元気でな!」
ヒルダは後ろも振り返らずに部屋を出て行った。
「あいつ、大丈夫なのかなぁ…」
『心配はいらんだろう。
機械だけに、間違っても死ぬようなこともないだろうしな。』
「本当にあいつ、機械だったんだろうか?」
『おそらく、嘘ではないと思う。
彼女には生体エネルギーのようなものはなかった。』
「生体エネルギー?なんだ、そりゃ?」
『おまえには説明しても理解出来ないと思うが…』
「……おまえ、本当に可愛くないな。」
『それで…まだエメラルドを探すつもりか?』
「いや、もうやめだ。
金もなくなったし、しばらくはどっかで真面目に働いてそれからまた出直しだな。」
『もしかしたらあの機械に金をやってしまったのか?』
「まぁ、そんな所だ。」
『おまえという奴は…
お人良しもそこまでいくと立派な馬鹿だな…』
「うるせぇ!!」
宿に着いたジュリアンが、背負っていた大きな袋をベッドの上に置いた。
その袋から出て来たのは、ヒルダだった。
「おまえ、みかけによらず重いな。
とにかく、ここでじっとしてろ。
服を調達してくるからな。」
「はい。」
ジュリアンは町の雑貨屋に行くと、ヒルダに似合そうなワンピースと靴を買い、すぐさま宿に戻った。
「ほらよ、これを着な!」
ジュリアンの買って来た服に着替えたヒルダは、どこからどう見てもごく普通の人間にしか見えなかった。
「おまえ、本当に機械なのか?」
「はい。」
「信じられないな…おまえが機械だなんて…
あ、それから、金…
そうたくさんはないが、これで必要なものを揃えな。
さすがに恥ずかしくて下着までは買えなかったからな。
それと、このあたりの地図だ。」
「ありがとうございました、ジュリアンさん。
それでは、私はこれで…」
「おいおい、もう行くのか?」
「はい。
早く、完全体にならなくてはいけませんから。
では、さようなら、ジュリアンさん。」
「あ…あぁ、そうか。
じゃあ、元気でな!」
ヒルダは後ろも振り返らずに部屋を出て行った。
「あいつ、大丈夫なのかなぁ…」
『心配はいらんだろう。
機械だけに、間違っても死ぬようなこともないだろうしな。』
「本当にあいつ、機械だったんだろうか?」
『おそらく、嘘ではないと思う。
彼女には生体エネルギーのようなものはなかった。』
「生体エネルギー?なんだ、そりゃ?」
『おまえには説明しても理解出来ないと思うが…』
「……おまえ、本当に可愛くないな。」
『それで…まだエメラルドを探すつもりか?』
「いや、もうやめだ。
金もなくなったし、しばらくはどっかで真面目に働いてそれからまた出直しだな。」
『もしかしたらあの機械に金をやってしまったのか?』
「まぁ、そんな所だ。」
『おまえという奴は…
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