STORY BOXⅡ

ルカ(聖夜月ルカ)

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001.星の砂

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ジャンがいなくなった後のサリーは、半ば、自暴自棄になっていた。
 遅くまで飲み歩く毎日が続いた。
だが、どんなにたくさん飲んでも、心が満たされる事はなかった…



(レヴやヴェールは元気でやってるんだろうな…
あの頃は、本当に楽しかった…
辛い事もあったけど、そのおかげで、皆、強くもなれたし幸せも手に入れたんだね。
あたしだけだ…
レヴ達のおかげで、せっかく変われたと思ったのに、やっぱり何も変わっちゃいなかった…
きっと、あたしは、根っからの出来そこないなんだ…)




 *



 「ピエール!
どうしたんだい!
あんたは、確か…」

ピエールは、店の片隅でサリーの方をみつめながら、とても悲しそうな表情を浮かべていた。



 「ピエール!
 何か言っておくれよ!
なんで、そんな悲しそうな顔してるのさ。
そうか…寂しいんだね!
あんた、あの世で一人っきりで寂しいんだろ?
わかったよ、あたしもそっちに行くよ!
そっちで一緒に暮らそうよ。
 前みたいに二人で仲良く、ね!」

サリーがピエールに近付くと、ピエールは途端に厳しい表情に変わった。



 「ピエール…どうしたんだい?
なんで、そんな怖い顔すんだよ!
ねぇ、ピエール!」

サリーの伸ばした手を、ピエールは激しく払いのけた。



 「何するんだよ、痛いじゃないか!
あたしは、ピエールと一緒にいたいだけなんだよ…
どうしたんだい、ピエール?
あたしのことが嫌いになったのかい?」

ピエールは、なおも顔をこわばらせたままだった。



 「ピエール…」

ピエールは、今度は微笑みながら、星の砂の入ったグラスをサリーに差し出す。
 星の砂は、グラスにいっぱいになっていた。
グラスの中からどんどん湧き出しているかのように、溢れ出て来る。



 「ピエール…これ…」

サリーが星砂のグラスを受け取っても、まだ星の砂は溢れ続けていた。
ピエールは、とでも満足げに微笑みながら、その姿はだんだんと薄れていく…



「ピ、ピエール…待っておくれ…
行かないで…
行かないでおくれよ!
あたしを一人にしないでおくれよ…!!」 
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