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001.星の砂
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「あぁ…頭が痛い…
ジャン、あたし、昨夜はかなり飲んでたかい?」
「あぁ、ものすごい飲み方してたぞ。」
「そっか…きっとあの世でピエールが怒ってるね…」
「そんなことないさ、今まで我慢してたんだろ?
ピエールさんも許してくれてるさ。」
「ジャン…あんたは優しいんだね。」
「見かけによらず…って言いたいんだろ?」
「そんなこと、言ってないじゃないか!」
ジャンはしばらくピエールの店に滞在した。
特に珍しいものがあるわけではない町だ。
二人は、ピエールの墓前へ参るのが日課になっていた。
サリーは、ピエールがいなくなって、ぽっかりと穴が空いた心の隙間をジャンが埋めてくれたような気がしていた。
*
「ちょっと遊びに来たつもりが、もう半年もいついてしまったな…」
「別に良いじゃないか…
……どうせなら、このまま、ここに住んだらどうだい?」
「………俺は、星の砂を渡しに来ただけだから…」
「!……そうかい…」
ジャンの言葉は予期しないものだった。
サリーは、ジャンのことをピエールの代わりではなく、新しい家族として感じ始めていた。
そして、その気持ちはジャンも同じだと思いこんでいた。
しかし、そうではなかったとわかった瞬間、サリーは、なんとも言えない激しい苛立ちを感じた。
「もう星の砂は受け取ったよ。用事は済んだんじゃないのかい?」
「………そうだな。じゃあ、明日帰るよ…」
「そうだね。
あたし、今夜はピエールの部屋で寝るよ。」
ベッドを出たサリーの瞳からは、一筋の涙が流れていた。
*
ジャンが旅立つ朝、サリーは、ジャンに皮袋を手渡した。
「なんだい?これ」
「星の砂さ、あんたとの思い出に半分だけもらっとくよ。」
星の砂が入っていたグラスを見ると、量が半分になっていた。
「……半分だと、なんだか見た目が寂しくなったな。」
「良いんだよ。
きっちり半分にしといたからね。
じゃあ、元気でね。」
「あぁ…サリーも元気でな!」
ジャンは手を振りながら、店を後にした。
(ジャンの馬鹿野郎!
遊びなら遊びだって、最初から言えってんだ!
何が幸せの星の砂だ!)
サリーは、星の砂の入ったグラスを振り上げた。
……しかし、それを投げつけることは、どうしても出来なかった…
ジャン、あたし、昨夜はかなり飲んでたかい?」
「あぁ、ものすごい飲み方してたぞ。」
「そっか…きっとあの世でピエールが怒ってるね…」
「そんなことないさ、今まで我慢してたんだろ?
ピエールさんも許してくれてるさ。」
「ジャン…あんたは優しいんだね。」
「見かけによらず…って言いたいんだろ?」
「そんなこと、言ってないじゃないか!」
ジャンはしばらくピエールの店に滞在した。
特に珍しいものがあるわけではない町だ。
二人は、ピエールの墓前へ参るのが日課になっていた。
サリーは、ピエールがいなくなって、ぽっかりと穴が空いた心の隙間をジャンが埋めてくれたような気がしていた。
*
「ちょっと遊びに来たつもりが、もう半年もいついてしまったな…」
「別に良いじゃないか…
……どうせなら、このまま、ここに住んだらどうだい?」
「………俺は、星の砂を渡しに来ただけだから…」
「!……そうかい…」
ジャンの言葉は予期しないものだった。
サリーは、ジャンのことをピエールの代わりではなく、新しい家族として感じ始めていた。
そして、その気持ちはジャンも同じだと思いこんでいた。
しかし、そうではなかったとわかった瞬間、サリーは、なんとも言えない激しい苛立ちを感じた。
「もう星の砂は受け取ったよ。用事は済んだんじゃないのかい?」
「………そうだな。じゃあ、明日帰るよ…」
「そうだね。
あたし、今夜はピエールの部屋で寝るよ。」
ベッドを出たサリーの瞳からは、一筋の涙が流れていた。
*
ジャンが旅立つ朝、サリーは、ジャンに皮袋を手渡した。
「なんだい?これ」
「星の砂さ、あんたとの思い出に半分だけもらっとくよ。」
星の砂が入っていたグラスを見ると、量が半分になっていた。
「……半分だと、なんだか見た目が寂しくなったな。」
「良いんだよ。
きっちり半分にしといたからね。
じゃあ、元気でね。」
「あぁ…サリーも元気でな!」
ジャンは手を振りながら、店を後にした。
(ジャンの馬鹿野郎!
遊びなら遊びだって、最初から言えってんだ!
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