STORY BOXⅡ

ルカ(聖夜月ルカ)

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001.星の砂

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それからの数日間を、二人は海の近くで過ごした。
 綺麗な海の他には特に見る物もない町だったが、美味しい海の幸を堪能し、ジャンはたくさんの買い物をした。



 「あんた、またそんなにたくさん買って…
持って帰るの大変だよ。」

 「慣れてるから大丈夫さ。」

 「いよいよ、ここともお別れか…
あんたのおかげで楽しい思い出が出来たよ。
ありがとう。」

 「こっちこそ。
こんな楽しい旅をしたのは初めてだ。
 誰かと一緒に旅したこと自体が初めてだからな。」

 「そうかい、それは良かったよ。
……そうだ、気が向いたらピエールの店にも遊びに来ておくれよ。」

そういうと、サリーは住所を書いた紙切れを渡した。



 「ありがとう。
いつか、訪ねていくよ。」

 「待ってるよ。」

 二人は、夕陽に染まる海を見ながら星砂の砂浜を歩いていた。



 「サリー…ここには星の砂以外にも言い伝えがあるの、知ってるか?」

 「さぁ、知らないよ。
どんな言い伝えがあるんだい?」

 「ここは、別名『忘却の海』って呼ばれてるんだ。
ここを訪れた者の悲しい想いや辛い記憶をこの海は洗い流してくれるんだってさ。
そして、あらたな気持ちで再出発するために、星の砂の幸運をもらって帰るんだ。」

 「忘却の海……」

 「……もしも、あんたにもそういう想いがあったとしても…
ここに来たからもう大丈夫だ!
 忘却の海が忘れさせてくれるさ。」

 「あ…あたしにはそんな想いは元々ないよ。
 頭悪いから、なんでも忘れてしまうからね。」

 「…そうか…」



 *



 次の朝、二人は星砂の町を旅立った。
やがて数日後、ある別れ道で二人の旅は終わりを告げた。



 「じゃあ、ここでお別れだね!
ジャン、元気でね!」

 「あぁ…サリーもな!」

お互いに手を振り、二人は違う方向へ歩き出して行った。 
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